「ロッジャーズ」─対エイリアン地球外起源生命体戦隊─
──こいつの顔はゴキブリに似ている──
男は思った。
──でもゴキブリの顔をよく見た事はないな、蛍光グリーンの血、腕にかかった、焼ける、痛い、死にたくねえ、クソッ、銃も溶けて──
「ピギャオ!!」
キチン質の怪物は咆哮し、黒光りする腕で男を壁に投げ飛ばした。
ケミカルバックショットの至近距離射撃でも、命を絶つ事は出来なかったのだ。
細い息をする男。背中を強烈に打った、息が出来ない、頭もだ、視界が滲む。
曖昧な視界に黒い影が増える。仲間か。もうダメだ。男は静かに失禁する。
ああ、怪物が、息が届くほどの距離に顔を近づけて、
粘液に濡れる、ゴキブリのような、その口を、開けた。
「生きてるな」
「えっ」
怪物は流暢に喋ると、シリンジを男の腿に刺した。
視界が一気に晴れ、腕の痛みが消えていく。
喋った怪物、その後ろで怪物を殺す怪物、全部で4体が兵士のような装備を着ていた。
「あ、あんた、人間なのか?」
「違うが?」
男は気を失った。
【続く】