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GRE Subject Math②:敵を知る

①に続いてGRE Subject Math対策について書いていきたい。まずはこの得体の知れない試験を知ることから始める必要があるので、基本的な情報から解説していきたい。

GRE Subject Mathは170分で66問を解く試験である。1問に当てられる時間は2-3分と極めて短いことが特徴である。最初の20問程度は極めて簡単で、大体1分程度で解くことができるが、徐々に難度が上がっていき、最後の方は試験時間内ではとても自信を持って解答できないような問題が出るのでちゃんと対策しておかないと思ってような点数が取れない。

試験問題の50%が微積分で25%が線形代数、残りの25%の試験問題は集合論、位相空間、複素解析(留数定理とその応用まで)、群論(シローの定理あたりまで)と初歩的な環論(準同型定理程度まで)、初歩的な統計(正規分布、中心極限定理の知識の知識だけ)、ルベーグ積分の初歩(測度論と収束定理)あたりが問われる。これらの知識自体は日本の数学科(学部)を卒業していれば十分である。位相幾何学、多様体論、微分幾何学、ガロア理論、数論は出題されない。専門的な知識は不要であるが、グラフ理論的な問題も出るし、アルゴリズムの理解を問うような問題も出る。全般的にGRE特有の出題傾向があり、日本人は見慣れないような問題がよく出るので時間内で手際良く解くための訓練が必要だ。

特にここ5年ぐらいの現代のGRE Subject Mathでは、例えば、位相空間の問題で、ユークリッド空間のような馴染みのある位相空間ではない初見の位相空間の性質を問うような問題、連続性・微分可能性・一様収束性などに関する反例の知識を問うような問題、トリッキーな積分問題などが出るようになっていて油断できない。それに対して、公表されている過去問は10年以上前のずっと簡単だった時代のものだけなので注意が必要だ。その時代に受けた人の体験は当てにならないので注意しよう。

Excellent(95%)を達成するためにはそもそもどの程度の正解数を達成すれば良いのであろうか?はっきりとしたことは残念ながら不明である。というのも、ETSは正解数(raw score)と点数(scaled score)とpercentile (%)の関係を公表していないからだ。さらに、試験問題はForm番号で管理されており、それぞれのForm毎の母集団に対する相対評価でスコアが示されるようになっている。つまり、同じ95%でもForm番号によって必要となる正解数は異なってしまう。そのことがこの試験の分析を困難としており、95%を達成するのに必要な正解数を見積もることを困難としているのである。しかも同じ試験日の受験生が全員同一のFormの試験問題を解いているわけではなく、一人一人ばらばらとなっている。

ただし、ETSによる公表資料が多少参考になる。ここにあるSubject Tests Score Interpretive Data (PDF)によれば、満点990は基本的に出ず、最高点は概ね960点(97%)であり、次が940点(96%)となっている。点数自体は10点刻みで出るようになっていることが知られているから、少なくとも3問ミスまでが960点(97%)、5問ミスまでは940点(96%)が得られるようになっている可能性がある。実際、今回の試験では少なくとも4問ミスして940点(96%)だったので、上記の考え方は概ね一致しているようにも思える。

ただし、2年前の試験でも少なくとも4問ミスしたことを確信しており、それで850点(85%)であったことを考えると、上述の正解数はあまり当てにしない方が良いのだろうと思われる。他方、2年前は知識の穴が大きい状態で受験していたので、実際には10問以上不正解だった可能性があるし、その可能性が十分大きいものと考える。

次の投稿で具体的な対策リソースの紹介を行う。

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