チバさん
突然の知らせだった。尊敬するロッカー・チバユウスケが亡くなってしまったらしい。
現場で会ったのはもう随分と前だし、思い出を分かち合えるような相手も近所にはいないので一人で抱えている。
こんな仕事をしていると「生きててよかった」とか「もう死んでもいいかも」って思う瞬間はたくさんあるけど、
チバさんの肉声がもう聴けないというのは想像しにくい。たださみしい。
10代で初めてロックに触れたとき、すでにチバユウスケはロックスターだった。
レイジ・アタリから洋楽に入り、ニルバーナ・レディへ・オアシスの真似をしてギターを持ち、
同級生に教えてもらったエルレ・アジカン・バンプのコピーバンドをやって、
クリープ・ラッド・フラッドを間近で観て影響を受けまくったその間も、
ずっと俺はチバユウスケの声を欲しがっていた。
グレッチを持って、並木でスーツも作った、リフもそれなりにロックだ。
でも声が、声だけが、ロックじゃない。
ミッシェルのフォロワーのバンドマンたちは、心の内側でチバさんにコンプレックスに似たような憧れを抱いていたように思う。
自分はこのことを諦めてから、急速に人格が人間らしくなった気がする。
このままどんどん俗になって、40代から合コンに目覚めて、50代でポテチに発泡酒で月9のドラマを見てるかもしれない。
もう好きというか、なんというか、中学の友達と一緒にMステの放送を見てからずっと、
俺の人生に影響を与えまくっている。与えられまくっている。
チバユウスケが亡くなったことで、昔の友達や、新しい友達や、さみしい別れ方をして二度と会えないと思っていた人たちから、たくさん連絡がきた。
もう大丈夫だよ、俺は。明日の現場で救われるヤツがいるかもしれないし、子どもたちも待ってるから。
いろいろ忘れないようにメモ帳に書き留めたが、noteのサーバーにも残しておこう。
そう思った。
でもさ、
なんちゃら時代のなんちゃらに置けるなんちゃらの代弁者で~
なんて、今のテンションでは難しくって。
というか、エピソードなんかはあまりここには書かないでおきたい。誰も興味ないだろうし。
ただただ、「あの人のライブまでは生き延びよう」とか「あの人の新譜を聴くまでは死ねない」とか、
そうやって、なんとか日々を繋ぎ止めてくれた恩人だと感じている。
なんだかおっかないお兄さん、お姉さんたち、そういう世界に生きる人たちの純粋な世界。
それに触れることが出来たキッカケをくれた恩人。
あまりに悲しいけど、チバさんにとってベストな人生を送れたはずだ、というくらいまで信頼して良いと考えている。
死因が何であれ、俺はそれを信頼しようと思う。いまのところはそんな感じ。今後、変わっていく可能性もある。
自信がなくなったら、ギアブルースでも聴く。それで、あぁ、ベストだよ。って思うようにする。
AIはダメだね。ミッシェルの流れでオススメ出してくるけど、全然ダメだよ。この声には絶対にかなわないよ。
ありがとうチバユウスケ。
普段無口なのに酔っ払って音楽の話するときだけ饒舌になるところが、大好きでした。
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