つまみ細工一凛堂

「つまみ細工」は四角い布をピンセットで折りたたんで花鳥風月をはじめとした様々な飾り物を…

つまみ細工一凛堂

「つまみ細工」は四角い布をピンセットで折りたたんで花鳥風月をはじめとした様々な飾り物を作る伝統工芸です。 小さな一輪の花ですが、これを添える物を引き立たせる不思議な魅力を持っています。そんなつまみ細工にまつわる話をブログ形式で書き連ねています。

最近の記事

つまみ細工の生態系をデザインする

先日、Youtubeで20代の若者の対談番組を見ていて気付いたことがあるので自身への備忘も含めてnoteに書き記したいと思います。 そこでは若者の視点で捉えた時、今の日本に欠けている物がいくつか挙げられており、それに対してどうなっていくべきかという話題が出ていました。 その中の一つに「物事の価値を決める為には、それを生み出す作り手が居て、それに対して反論を唱えたり、或いは定義付けが出来る意見を与える人が居て、その対話から世間が価値を知り・分かることになるが、日本の中では権威

    • 新しい年を迎えるにあたり

      今年も昨年に引き続きウイルスという目に見えない敵との戦いに翻弄されながらも、日本はこれと冷静に向き合い、新しい年を迎える準備ができるまでになりました。 来年1月は早いもので前身のつまみ堂店主の逝去より4年の月日が経ちます。 晩年、自身の情熱の全てをかけてつまみ細工の伝統文化の保存に尽力された故人の意志に応えるようにつまみ細工の世界も徐々に裾野を拡げていき、今では日本全国に愛好家の方達が増え、同時にSNSをはじめ個人で発信できるインフラの発達と共に市場も大きくなってきました。

      • つまみ細工の体験が人を動かす力を持っているということ

        先日、一凛堂でつまみ細工体験をしてくれたJICAの日系人協会の活動の一つである「日系文化活動コーディネーター育成プログラム」の模様が機関紙に掲載されました。彼達は現地の日系人コミュニティの活動の中心となる為に日本で様々な体験をし、これを現地にフィードバックして日本文化を伝えていくという役割を担っています。 その中でアルゼンチンのメンドーサという街にいるメリッサさんという女性がつまみ細工体験に触れてくれました。世界に約400万人いるとされる日系人の約8割は南米に集中しています

        • 伝統工芸という名前にこだわらない

          七五三や成人式の髪飾りとして使われるつまみ細工は、四角い布をピンセットで折りたたんで花鳥風月を表現するかんざしが起源です。江戸後期の文化文政時代に町民文化として確立されたところから「江戸つまみかんざし」として現代では東京都の伝統工芸にも指定されています。 戦後の復興と共に日本が豊かになるにつれ、お節句など人生の節目を祝う席も華やかなものになっていき、一般の方も七五三や成人式などの際は綺麗なお着物に髪を結い、つまみかんざしを付ける人が増えていきました。 この頃はつまみ細工に限ら

        つまみ細工の生態系をデザインする