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「世代遅延」という話

「世代遅延」という話

インターネットがある世界が育った世代(ジェネレーションZやジェネレーションα)は、その上の世代が見ている世界とは違う世界を観ています。

田中泰延が語るように『会って、話すこと』で解決できるのですが、少し考えてみましょう。

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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。

いつもは、
「あまり一生懸命になるな」という話
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n081dd28c9a6c
とか、
「沈黙」という話/「東アジアの思想」という話
https://note.com/ichirikadomatsu/n/n416e39d84b94
を書いていますが、本当はノワール作家です。

という話(ik)-2

という話(ik)を連載しています。

こちらは調査資料(エビデンス)を使った「思考の遊び」――エンタテインメント(娯楽)作品です。※虚構も少なからず入っています。

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ストラウス−ハウ世代理論という、世代(ジェネレーション)ごとに考える理論があります。
cf.
Howe, Neil; Strauss, William (1991)
“Generations: The History of America's Future, 1584 to 2069”

直近の四半世紀の世代を区分すると、以下のようになります。

1943-1960 ベビーブーム世代
1961–1981 ジェネレーションX世代(第13世代)
1982–1995 ジェネレーションY世代(ミレニアル世代)
1996–2005 ジェネレーションZ世代
2006–202X ジェネレーションα世代

なお、年代は資料によって異なるので、私なりに設定しています(※)。特に1995年は阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件があった時代の転換点でしたので、あえて前のジェネレーションY世代(ミレニアル世代)に入れています。
※つまり虚構です。詳しくは専門の資料を読んでください。

ジェネレーションZ世代がいわゆるデジタルネイティブ世代です。生まれた時からインターネットがあった世代です。

それまでのゆるやかな環境とは違い、膨大な情報を浴びた世代です。

ジェネレーションZ世代の人たちはそうした大量の情報から自分の身を守るために、多くのレイヤーを通して世界を観るようになりました。

ちょうどジェネレーションX世代(第13世代)が上の世代から叱られないように、身なりや言葉遣いをきちんとするような感覚です。

ゆとり世代にあたるジェネレーションY世代(ミレニアル世代)は、その反動で身なりや言葉遣いに気を遣わなくなりました。

ジェネレーションZ世代である2011年の大津市中2いじめ自殺事件が2012年に発覚して、いじめ防止対策推進法が2013年(平成25年)公布されました。

一方、2021年の旭川女子中学生いじめ凍死事件はジェネレーションα世代です。

亡くなられた方にお悔やみを。

10年の時を経て、どうして大人は対応できなかったのでしょうか。

ジェネレーションZ世代の人たちは事象の観察眼が鋭いです。SNSでグループ分けされ、誰かが誰かを除け者にしているか分からない状態では、よく観察して慎重に行動することが求められます。

これは別に「人の顔色を見ている」訳ではありません。「多くのレイヤーを通して観ている」だけです。レイヤー世代と言ってもいいでしょう。

Aグループではaがグループリーダーですけれど、aが知らないBグループではbがリーダーでaの悪口を言い、自分が主催するCグループではaもbも加入していないというように、幾重にも重なっています。

生存競争による進化によって生物が擬態する(※)ように、ジェネレーションZ世代は複数のレイヤーを通して世界を観るようになりました。
※進化論ではあまり正しくありません。

その結果、賢く立ち回ってミスを重ねるより、愚かでも敵を作らず絶対にミスをしない世代になってしまいました。知性は低いですが生き残りに特化しています。

レイヤー世代であるジェネレーションZ世代は、ゴブリン世代と言ったほうが正解かもしれません。あえて個性を出さないのでどの世代とも親しくなれません。

けれど、少し賢い人が実力をつければ簡単に流れが変わってしまうでしょう。

センスは生き方なので、観えない偏執狂が心中の暗渠に現れなければいいのですが。

知性が低いというのは問題で、調べれば分かるレベルは賢くありません。

前の世代であるゆとり世代のジェネレーションY世代(ミレニアル世代)は目の前に辞書があっても開きませんでしたが、ジェネレーションZ世代はミスがないので思考のバランスが均一になり過ぎて高みに進む要因がありません。

傷つかない若人はいませんから、表面に出ないトラウマがあります。

その一つがいじめです。

次の世代であるジェネレーションα世代は、ジェネレーションZ世代のような愚かなことはしません。

いじめが犯罪であり進学や就職・結婚などに影響することを知っていますし、第一そうした愚かな行為では楽しめなくなっています。

前の世代であるジェネレーションX世代(第13世代)は、ゆとり世代のジェネレーションY世代(ミレニアル世代)との時代差にかなり悩まされました。

2021年の旭川女子中学生いじめ凍死事件はジェネレーションα世代ですが、10年の時間差があります。

これは従来の世代移行の遅延です。柳田國男の『蝸牛考』のように、都会と地方では10年の遅延があると考えたほうがいいでしょう。

つまり、旭川女子中学生いじめ凍死事件はジェネレーションZ世代の犯行です。

そしてこれはベビーブーム世代やジェネレーションX世代(第13世代)の責任であり、追従するしか生きることができなかったゆとり世代のジェネレーションY世代(ミレニアル世代)の責任でもあります。

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2013年(平成25年)のいじめ防止対策推進法の前に、瀧本哲史が対処法を述べています。

瀧本哲史bot(@ttakimoto)
暴行は親告罪ではないので、即、司法手続きで良いのではないだろうか。そして、司法手続きにのせた学校は免責。のせないと、行政上、民事上の責任、最悪は、犯人蔵匿、証拠隠滅罪で極めてシンプルな処理に
10:09 pm · 14 Jul 2012
https://twitter.com/ttakimoto/status/224128496035827713
瀧本哲史bot(@ttakimoto)
「警察沙汰にすると、少年の未来が」、と言う議論もあるだろうが、それは、少年法の問題であって、例外は学校のルーチンから外すので良いのではないだろうか
10:11 pm · 14 Jul 2012
https://twitter.com/ttakimoto/status/224129020839735298

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ストラウス−ハウ世代理論では、四つの世代を一つの区切りとして、春夏秋冬というような四季に分けています。
※正しくは、“Prophet (Idealist), Nomad (Reactive), Hero (Civic), Artist (Adaptive)”の四つですが、ややこしいので割愛します。

〈春〉1943-1960 ベビーブーム世代
〈夏〉1961–1981 ジェネレーションX世代(第13世代)
〈秋〉1982–1995 ジェネレーションY世代(ミレニアル世代)
〈冬〉1996–2005 ジェネレーションZ世代
〈春〉2006–202X ジェネレーションα世代

本来であれば、〈冬〉のジェネレーションZ世代がそれまでの世界を破壊して、『聖書』の「種を蒔く人」のように、次の〈春〉ジェネレーションα世代に種を残すはずでした。

それが疫病のために、それまでの世代との情報の格差を壊すことができませんでした。

情報の格差を壊すことができなかったことで、すべての世代が孤立してしまいました。そのために、本来であれば死ぬ予定ではなかったジェネレーションα世代を、前の世代が守ることができませんでした。

ベビーブーム世代やジェネレーションX世代(第13世代)は疫病を予測できましたが、用意をしませんでした。あれだけ警告されていたのに。

いまさら〈冬〉のジェネレーションZ世代が情報世界の格差を破壊することはできません。

では、どうしたらいいのでしょうか。

簡単なことです。

田中泰延が語るように『会って、話すこと』をすればいいのです。

田中泰延『会って、話すこと。 自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術』
https://www.amazon.co.jp/dp/4478112622/ref=cm_sw_r_tw_dp_3CXWPAHSRPV514D1SRJ0

何故なら、“私たちは常に興味対象は「外」にある”からです。

『会って、話すこと』で、世代の情報の遅延は火星と地球ほどの時間差はないほどに近くなるでしょう。#blackjoke
cf.
The Martian | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX
https://youtu.be/ej3ioOneTy8

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