「東アジアの思想」という話-35
【四知】
後漢の楊震(ようしん)の言葉に「天知る、地知る、子知る、我知る」があります。楊震は博学でしたから「関西の孔子」と呼ばれました。この「関西」とは、函谷関(かんこくかん)から西を意味しています。
また、潔白な人だったので、賄賂を受け取りませんでした。「四知」――「天地の神々も、君も、私も知っている」ので、悪事は露顕するという訳です。
ちなみに、函谷関は要所であり、老子のモデルとされる老耼が尹喜(いんき)という長官に「『道』について語ってほしい」と頼まれ、仕方なく書い