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修行のすすめ


お釈迦様はスジャータからの牛乳粥をいただき体力を回復させました。
その後、菩提樹の下に静かに座り多くの魔物と戦いながら四十九日目に悟りを開きます。
以前に書いたように、お釈迦様にとってスジャータとの出会いがあり、牛乳粥を受け取る事が無ければ、お釈迦様は悟りを開くことはなかったと思います。
スジャータを代表として普通に生活をしている人たちが居て、普通に体調が悪い時に口にするお食事が、悟りを開くことの起点になったとすれば、世間と離れた特別な場に身を置き、修行を行う事に疑問が湧いてきます。
私は、真宗の僧侶なので、テレビで流される様な修行をする事はありません。
それでも、修行はした方が良いと答えてしまいます。
修行にも条件があり、「清く正しく美しく」なるとか「善」とか「徳を積む」事を目標にするのであれば、お勧めはしません。
私がお勧めする修行は、何処でもできますが、最も厳しい四苦の苦行です。
四苦とは老苦、病苦、死苦、生苦です。
先ずは老いと向き合う苦行です。
昔はできていた事が、少しずつできなくなって往く、そんな自分とどう向き合うかの苦です。
テレビではよく、アンチエイジングと呼ばれる、老化防止の商品を販売しています。
自身の変化と、これらの商品とどう向き合うかの苦です。
買う事も良いですし、買わないのも良しです。
当然体力をつけるために、運動をする事もしないのも、選択はご自身が選んでいただきます。
理想の私と、現実の私との差を知り、向き合い、引き受ける苦行です。
次は病気と向き合う苦行です。
鎌倉仏教のスーパースター法然上人は「病患を楽しむ」とうお言葉を遺されています。
私もすい炎を発症し、胆のうを摘出しました。
お陰様で、すい炎が再発する心配は無くなり、ダイエットにも成功しました。
私の場合、不便もありますが、運よく、日常生活には大きな支障をきたす事無く、病気を治める事ができました。
薬や装置が無いと生きていけない方など、現実には、日常生活にご苦労をなされている方も多くお見えになります。
無責任に病気を楽しめと言うのは失礼だと思います。
それでも、その立場から見える世界を精一杯生きてください。
楽しむとは、総てを引き受ける時間を持つ事です。
不味くてもお薬を飲む、面倒くさくても、病院に通う、自分できない事はお願いするなど、多くの苦行が待ち受けています。
現実を引き受けて、精一杯病気と向き合い、生きるための努力をする苦行です。
三番目は死と向き合う苦行です。
誰もが生まれた以上、命には終わりがきます。
いつ終わるか分からないのが、命です。
この、いつ終わるか分からない現実と向き合う苦行です。
今を大切に、精一杯生きる苦行です。
この三つの苦行は自分の身の事実を引き受ける苦行です。
四つ目の苦行は生苦です。
「いつ」「どこ」で、何があるか分からない自分を、どう引き受けて生きて往くかの苦行です。
当然ですが、良い事もあると思います。
逆に嫌な事もあると思います。
総ての物が自分の思い通りにならない現実に、身を置き、自分らしく精一杯生きる苦行です。
修行はいつでもできます。
私達もお釈迦様と同じ人間です。
お釈迦様の様に、現実に辛いのであれば、引きこもりや、家出するのもありです。
空気を読まずに自分の思うままに行動をする事もありです。
この四苦の苦行を行う事で、お釈迦様と等しい悟りが獲られかもしれません。

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