あなたはNFTで何をしたいのか

こんにちは。IchiP(イチピー)です。
このNOTEは、アートプロデューサー、オタクプロデューサーの視点から見るNFTというテーマで書いています。
私は、アートやサブカル(漫画アニメゲーム)業界で15年以上、主に日本と海外を繋ぐ仕事をしてきました。また母親がアーティストでもあり、幼少期からアートの環境に囲まれ、仕事としてアーティストのマネジメントもしていました。
現在はNFTに新しいコンテンツ作りの光を見出し、NFTの収集やプロデュースをしています。

今日は、「なぜNFTなのか?」ということを少し考えてみたいと思います。

なぜNFT?

「自分の作品を販売して、その収益で生活したい」
「副業として、収益をえたい」
「自分の作品を広めたい」
・・・・
表題の「あなたはNFTで何をしたいのか」とクリエイターに尋ねると、大抵はこのような答えが帰ってきます。
なるほど、実にシンプルな答えで、わかりやすいですね。

では、意地が悪いが、ここに少しツッコんでみましょう。
「それは、NFTでないとできませんか?」
答えは「ノー」です。
別にNFTでなくとも、様々な方法でデジタルアートを販売することはできます。

では、なぜNFTなのでしょうか?
ツイッターで「売れました」、「買いました」というのが、やたら流れてくるからでしょうか?
NFTで売れば、転売された時(二次流通)にロイヤリティが入ってくるからでしょうか?

ツイッターで「売れた」、「買った」がやたら出てきますが、だれも「売れない」、「買わない」なんてツイートしないのですから、結果的に「売れた」、「買った」が(たくさんあるかのように)タイムラインに流れてくるのは当たり前であって、実際売れている人、買っている人は本当に少数の人たちです。
しかも苦労して制作しても、数千円で売っていることが多いのです。

私の母はアーティストで、彼女やアーティスト仲間を見ても、個展を開いて自分の作品を数千円で売っている人を見たことがありません。
いくら駆け出しでも、それなりに時間を費やした作品なら、1万円くらいで売っています。でないと、さすがに元が取れないからです。
それを数千円、その時のETHのレート(価値)によっては、1000円にも見たない価格で販売することもあります。

二次流通のロイヤリティが入るから、安くてもいいですか?
それはジェネラティブのプロジェクトの場合はそうでしょう。買う側も転売することが目的の一つになっており、転売されればされるほど、ロイヤリティが入るので、安くしておいた方がいい、という考え方もあります。
しかしあなたがもし一人で一点一点制作している場合、そう簡単に転売されるとは限りません。なぜなら購入者はあなたのファンであり、自分でコレクションしたいと思って購入しているからです。
もちろん将来的にあなたの作品が有名になり、価値が高まったらいいなと期待はしているかもしれません。
では、それはいつなのでしょうか?

つまり、あなたが単に「自分の作品を販売したい」、という理由だけでNFTをやるなら、それなりの覚悟が必要です。なぜなら、NFT は魔法でなく、単なるシステムであり、あなたの作品が売れやすくなるわけではなく、結局やっていることはフィジカルなアートを制作し、個展を開き、展示会に出展し、頑張って宣伝して販売するのと基本は変わらないのです。

もちろん、NFTという技術が生まれたことで、今までコピーされて終わっていたデジタル作品が購入されるという、一つの革新であり、デジタルアーティストにとっては大きなことなのは確かです。
でも場合によっては、受注仕事をして、1点10万円、20万円いただいた方が楽な場合もあります。実際2022年8月現在、神絵師と呼ばれる方たちの多くがNFTに本格参入していないのは、彼らは安定したクライアントワークがあり、その方が稼げるからです。

私の場合

「じゃあなぜあなた(IchiP)はNFTをやっているのか?」と逆に問われているのが聞こえてきそうです。
答えは、「NFT界隈に新しい可能性を感じるから」です。
もっと具体的に言いましょう。

私の会社には多くのイラストレーターが所属し、多くのフリーイラストレーターのマネジメント契約をし、ゲームやアニメーション用のイラストを作成してきましたが、ゲームがヒットし、商品化されても、イラストレーターには一切の権利がなく、場合によっては、名前も出してもらえないということを経験し、彼らと共に悔しさを味わってきました。
だから、NFTという、作家が生み出した作品に最初に作家の名前を刻み込むことができる技術を使うことで、クリエイターも一緒に利益を享受できるようになることに興奮しました。
私がやりたいことは、デジタル作品の販売だけで終わらず、それを使ったビジネス、つまりコンテンツ(キャラクター)ビジネスにすることです。作品以外の形で収益を生み、その収益をしっかり作家に還元するところまでが目的です。
NFTで作家の情報が刻まれている、売れた記録も刻まれていれば、ビジネスサイド(投資家や事業家)に逃げ場はなく、作家に還元しなければならない状況を作ることができます。
これこそが、私がNFTに感じた可能性であり、NFTをやる理由です。

まとめ

これはあくまでビジネスマンである、私の理由です。
クリエイター・アーティストのみなさんは純粋に作品を制作したい、それだけで十分かもしれません。しかし、前述した通り、もしそうであるなら、まだ未熟なNFT市場でなくともいい場合があり、むしろNFT市場はまだまだ難しいフィールドです。
せっかく新しいフィールドでチャレンジしているのであれば、もっとNFTである意味や価値というものを考えてもいいのではないでしょうか?
それによって、あなたの大切な作品が誰かに迎えられ、喜んでもらい、また新しい作品を制作することができ、次の誰かを幸せできるという好循環が生まれるかもしれません。

もう一度問います。
「あなたはNFTで何がしたいですか?」


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