市瀬 博基|ビジネス x リベラルアーツの可能性を拓く!

グロービス経営大学院 教授・東京外国語大学 非常勤講師|リベラルアーツの視点でビジネス…

市瀬 博基|ビジネス x リベラルアーツの可能性を拓く!

グロービス経営大学院 教授・東京外国語大学 非常勤講師|リベラルアーツの視点でビジネスやマネジメントをとらえ、さまざまな知識・実践・メンバーを「つなぐ力」について考えています|著書:「組織変革の航海術」「はじめてのコーチング」|グロービス「学び放題」でコンテンツ配信中!

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春めく陽射しの中、精神的バンジージャンプの一歩を踏み出した ~ 音声コンテンツ収録@日比谷公園

2024年3月14日は、「こんな日に散歩しないのはどうかしてる」と思うくらいに春の訪れを感じさせる、うららかに晴れた1日だった。 そしてこの日は、ナカミチさんのムチャ振りでアッという間に音声コンテンツをつくることが決まり、ほどなく収録日が決まり、収録にあたっては「日比谷公園あたりを歩きながら、好き勝手なことを言い散らかす感じでいこう!」と決まった日でもある。 まさに狙い通りの晴れ間。 「ほーらね、私は晴れ男ですから」といったら、ココロさんから「私も晴れ女です」との言葉(

    • 「スター・ウォーズ 新たなる希望」を観て、あのころの未来のテクノロジーとフォースについて考えた

      ローソンユナイテッドシネマのGW特別上映で観ることができなかった(チケットが早々と完売になっていた)ので、スターウォーズの第1作(エピソード4)「新たなる希望」をアマゾンプライムのレンタルで観た。 大昔と同じように、冒頭のテーマが響きはじめた途端に胸が高鳴るし、ライトセイバーがブォンと光れば「お〜っ!」という気になる。が、思わせぶりな台詞の背景にあるものがぜんぶ分かっているので、その昔に観たときよりも味わいが深い。 ダースベイダーといえば、つねにあのテーマで登場するような

      • NHK「100カメ」のポケモン世界大会を見ていたら、グラットン「ワーク・シフト」を思い出した

        2023年にはじめて日本で開催された「ポケモン世界大会」に集まるいろんな人を描いたNHKの「100カメ」を観た。 ポケモンのことは何も知らないから、カードゲームのこともビデオゲームのことも知るわけがない。でも、これがなかなか面白い番組だった。 「おーっ!」と思ったのは、世界大会に集まる参加者がオンライン上のプレーヤーとしては相手のことを知っているけど、リアルに会うのがはじめてなので、「あなたでしたか!」的な挨拶を交わしている場面。 リンダ・グラットン「ワーク・シフト」で

        • ジョブズのプレゼンは真似できる。でも、真似しないほうがいい(けっして真似してはいけない)こともある

          スティーブ・ジョブズのプレゼンは誰にでも真似できる、という記事を読んだ。 プレゼンテーションに関してジョブズには「生まれながらの能力」が備わっていたとビル・ゲイツは語っているが、ジョブズのスピーチの上手さは生まれつきのものではなく、「何度も繰り返し練習し、時間をかけてうまくなっていった」結果である。 ゲイツによれば、ジョブズのプレゼンのすばらしさは「本番で、まるで今その場で思いついたことを話すように見えるところ」にある。しかし、この記事を書いた(「スティーブ・ジョブズ 驚

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          ホモ・サピエンス・ジャパニカス 〜 ロボットが担う日本のジェンダー・家族・国家の未来

          ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)というドイツの放送局のニュース番組を見ていたら、ジェニファー・ロバートソンの「ホモ・サピエンス・ジャパニカス」という本が紹介されていた。 少子高齢化が進む日本。医療や介護、それにサービス産業といったさまざまな現場で顕在化している労働力不足に対して、外国人労働者の受け入れを増やすのではなく、日本の社会はロボット化により解決をはかろうとしている、という話。 もちろん、ここで語られるロボットは、鉄腕アトム(古い!)的なヒト型ロボッ

          ホモ・サピエンス・ジャパニカス 〜 ロボットが担う日本のジェンダー・家族・国家の未来

          グロービス「マネジメントに役立てるリベラルアーツ」クラスが終了した

          今日はグロービスMBA卒業生向けの「マネジメントに役立てるリベラルアーツ」の最終回(通常は全6回のセッションだが、このクラスは全4回の構成なので、アッという間に最終回を迎えた気がする)。 今日のクラスのテーマは、(これまでの3回と趣きを変えて)テクノロジー。そして、最終回となる今回も、例によって悩めるマネジャーのみなさんの日々のモヤモヤを解消することなく(というかむしろ増やす方向で)終了。 クラス後の懇親会では、「MBA取得後に抱えていたモヤモヤを、「こういうモヤモヤがあ

          グロービス「マネジメントに役立てるリベラルアーツ」クラスが終了した

          テクノロジーのこれからを考えるカギは、過去に目を向けること!?

          (この記事は、問いを投げかけたまま答えを示さずに終わる、たいそう無責任な内容です) テクノロジーのこれからがどんな方向に向かうのか? 今後どのようなテクノロジーが登場し、私たちの生活をどう変えるのか? その過程で産業の構造が、そして私たちの仕事がどのように変化するのか? テクノロジーのこれからについては、日々、新たな議論が巻き起こっています。しかしその議論は、なかなか一つの方向に収斂することがありません。 「これから」という未来を想像しようとしても、なかなか方向性をしぼ

          テクノロジーのこれからを考えるカギは、過去に目を向けること!?

          「感情の生き物」としての人の生態が、組織マネジメントにどのような「客観的」影響を与えるのか?

          人は感情の生き物だ。 そういう話をよく聞きます。しかし、人は感情の生き物だから、どのようなメカニズム・プロセスで何をどう感じ、どのような行動をするのか、とつづくことはほとんどありません。だから、そうした考え方や行動が他の人間にどのような影響を与え、集団の「現実」がどう変わるのか、という話になることもありません。 「まあ、いろいろとむずかしいよね」で話が済む分には問題ありませんが、これがマネジメントとなれば、そんな風にフワッとしたままでいるわけにもいかない。 人は感情の生

          「感情の生き物」としての人の生態が、組織マネジメントにどのような「客観的」影響を与えるのか?

          「だって人間だもの」のマネジメント論 〜 リベラルアーツをマネジメントに役立てる視点

          (この記事も、以前に書いた「思考のプロセスに目を向けるためのエクササイズ 〜 「批判的」に読むために必要なことは?」と同様に、エクササイズを念頭に置いて書いたものです。なので、記事の最後の問いに対する答えはここには書かれていません) ビジネスケースを読んでいると、「この事態にどう対応するかが大事なんだよな」と思える状況がサクッと素通りされていて、ものすごく肩透かしをくらうことがあります。 たとえば構造改革の一環として、長年にわたって付き合いのある小売店の整理・合理化に大ナ

          「だって人間だもの」のマネジメント論 〜 リベラルアーツをマネジメントに役立てる視点

          空気を変えることばと経験を煮込むことば

          先日の、中島崇学さんの「空気を変えるすごいひと言」を読んで考えたことのつづき(というか、そこから思い浮べた、まるきり別ものの話)。 「空気を変えるすごいひと言」を読み、その本の出版感謝会に出席した後でときどき思いかえしていることばがある。 それは、空気を変えることばの真反対の側にある。 いま・ここで起きていることにすばやく対応することばではなく、対話の場を離れ、いろんな経験を積んでいくなかで、そこに含まれる出汁がジワッと沁み出してくるようなことば。 いってみれば、経験

          空気を変えることばと経験を煮込むことば

          アッという間に音声配信コンテンツをつくることが決まった

          今日は、(ひそかに「ナカミチさんの千本ノック」と呼んでいる)悪だくみの会議。 去年から今年1月にかけて、グロービス「学び放題」のコンテンツを3本つくった(間もなく1本目が完成する)が、これにつづいて、こんどはグロービス講師2人による音声コンテンツをつくろうではないか、という話。 これまでにつくった3本は、「中級コース」の映像コンテンツとして、ある程度しっかりとしたフォーマットに沿ったものだったが、これからつくるという話になっているのは、「実践知」と呼ばれるカテゴリーのかな

          アッという間に音声配信コンテンツをつくることが決まった

          思考のプロセスに目を向けるためのエクササイズ 〜 「批判的」に読むために必要なことは?

          以前の記事にこんなことを書きました。 哲学書を読むときは、そこに「何が書かれているか」(コンテンツ)ではなく、そこで思考が「どのように積み重ねられているか」(プロセス)に目を向けることが大事。 ところが、映画やドラマの副音声解説の「この場面、編集をものすごく工夫しているんですよ」みたいな説明は、哲学書(哲学書にかぎった話でもありませんが)のどこにも書かれていません。 そのため、何に目を向け、どのように問いを立てているのか? その問いへの答えをどうやって見つけているのか?

          思考のプロセスに目を向けるためのエクササイズ 〜 「批判的」に読むために必要なことは?

          中島崇学さんの「空気を変えるすごいひと言」を読んで考えたこと

          一ヶ月ほど前に共創アカデミー代表取締役の中島崇学(なかじまたかあき)さんと会った。 中島さんと最初に会ったのは本当に大昔。 日本企業のコーチング導入プロセスに関するフィールドリサーチをやっていたころだ(15年前? 16年前? もっと前?)。その後、中島さんが主催する「ファシリテーション塾」という勉強会の立ち上げ当初にお話させてもらう機会はあったが、ここ何年もご無沙汰だった。 で、その中島さんが満を持して出版された本、「空気を変えるすごいひと言」の出版感謝会が開催されたの

          中島崇学さんの「空気を変えるすごいひと言」を読んで考えたこと

          リベラルアーツ(哲学)をビジネス・マネジメントに役立てるカギは、コンテンツではなくプロセスに目を向けること

          ものすごくひさしぶりのnote記事。 これまでいろいろと考えてきたことが、すこしずつ形になりつつあるので、そのあたりの話をすこし書いてみようと思います。 考えてきたことというのは、リベラルアーツの知識をマネジメントに役立てる方法について。たとえば哲学に歴史、文学にアート、社会学に文化人類学といった、大学の教養課程で学ぶのがリベラルアーツ科目です。 これ、一見するとビジネスやマネジメントとはまるきりかけ離れた知識のように思えますよね。ここで大事になる視点の1つが、リベラル

          リベラルアーツ(哲学)をビジネス・マネジメントに役立てるカギは、コンテンツではなくプロセスに目を向けること

          想定外を想定する 〜「看護のためのポジティブ・マネジメント 第2版増補版」を読んで考えたこと

          「看護のためのポジティブ・マネジメント 第2版増補版」が8月16日に出版される。 手島恵先生・編著の「看護のためのポジティブ・マネジメント」は、組織やスタッフの「優れた特性、強み、豊かさ」を活かし、成果を生み出す組織づくりのためのポジティブ・マネジメントについて書かれた本。 第1版が出版されたのが2014年。2018年に第2版が出て、今回の「増補版」は、これにCOVID-19禍における取り組みを新たに追加したもの。 私はここで、ポジティブ・マネジメントの理論的な背景や実

          想定外を想定する 〜「看護のためのポジティブ・マネジメント 第2版増補版」を読んで考えたこと

          ちょっとだけ暑さが和らいだ話

          昨日で東京外大の日本文化論の授業が終了。本当は先週に終了する予定だったけど、体調を崩して休講にした回があったから。 で、補講の日程を決めるときに、7/17が休日だと気づいてなかったし、もちろんここまで猛烈に暑くなるとは思ってなかったので、きっと大いに恨まれてるはず。 だから、最後に「このクラス、こうしたらもっと良くなる、っていう点はありますか?」と尋ねたとき、「補講の日程はちゃんといろいろ考えたうえで決めてくれ!」をはじめとする、恨みに満ちたいろんな意見の爆撃を予想してい