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#3 良問日誌〜2024京都大学文系③

はじめに


前回の記事はこちらから

今回は京都大学の問題です。本番だったら取れて欲しい問題の一つですが、意外と取れなかった人いるんじゃないでしょうか。今年の京都大学文系数学は良問揃いで非常に差がつくセットだったので文系受験生ならやってみるといいと思います。

筆者の実績(理系)

京都大学入試実戦模試(夏) 偏差値79.6
京都大学オープン模試(夏) 偏差値75.2
京都大学入試実戦模試(秋) 偏差値74.2
阪大入試実戦模試 数学全国2位
その他全国模試では常に偏差値70↑をキープ


問題


$${a}$$は正の定数とする。次の関数の最大値を求めよ。
$${f(x)=|x^2-(ax+\dfrac{3a^2}{4})|+ax+\dfrac{3a^2}{4}     (-1\leqq x \leqq 1)}$$

問題方針

まずこの問題を見た時にして欲しい操作は
「絶対値を外す」
こと。絶対値をみたら常に外す意識を持とう。絶対値を外すと後は場合分けになりますがこの場合分けが少し複雑。今$${(-1\leqq x \leqq 1)}$$だが、場合分けしたxの範囲の中に$${a}$$が入ってきており複雑になっている。わかりにくいので$${f(x)}$$の概形を調べて、その上で場合分けの方針を決めよう。この流れは2次関数の最大最小の典型問題と同様。今回のポイントは$${x=a}$$のとき。

解答

$$
f(x)=|x^2-(ax+\dfrac{3a^2}{4})|+ax+\dfrac{3a^2}{4}     (-1\leqq x \leqq 1)
$$


$${x^2-(ax+\dfrac{3a^2}{4})=(x-\dfrac{3a}{2})(x+\dfrac{a}{2})}$$
となるため、

$$
f(x)=
\left\{
\begin{array}{ll}
x^2 (x\leqq-\dfrac{a}{2},\ \dfrac{3}{2}a\leqq x)
\\  -x^2+2ax+\dfrac{3}{2}a^2=-(x-a)^2+\dfrac{5}{2}a^2 (-\dfrac{a}{2}\leqq x\leqq\dfrac{3}{2}a)
\end{array} 
\right.
$$


ここで

$${g(x)=x^2}$$

$${h(x)=-x^2+2ax+\dfrac{3}{2}a^2}$$

とする。
$${f(x)}$$はこれらの関数の組み合わせであるため、これらの関数の最大値を考えると良い。


(i) $${1\leqq a}$$のとき
$${h(1)=\dfrac{3}{2}a^2+2a-1}$$


(ii) $${a<1\leqq \sqrt{\dfrac{5}{2}a}}$$,すなわち$${\sqrt{\dfrac{2}{5}}\leqq a<1}$$のとき
$${h(a)=\dfrac{5}{2}a^2}$$


(iii) $${0<\sqrt{\dfrac{5}{2}a}<1}$$,すなわち$${0< a<\sqrt{\dfrac{2}{5}}}$$のとき
$${g(-1)=g(1)=1}$$


$$
f(x)=
\begin{cases} 1    ({0< a<\sqrt{\dfrac{2}{5}}})
\\  \dfrac{5}{2}a^2   ({\sqrt{\dfrac{2}{5}}\leqq a<1})
\\ \dfrac{3}{2}a^2+2a-1   (1\leqq a)
\end{cases} 
$$

まとめ


本問は今年の京都大学の中でも比較的取り組みやすい問題であった。典型問題の二次関数の問題を解くときに頭を使って考えた経験があれば今回も解けたはずである。本問のように同じような問題はあまり見ないが思考のプロセスは典型問題と同じという問題が入試には非常に多い。難しそうに見えても基本に立ち返ってみよう。

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