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~第117回 ~「ホタルの伝説」

古来、日本人は四季折々に様々な虫を愛でてきました。
武蔵一宮氷川神社もホタルとのご縁があります。
戦国時代、氷川神社の近くに寿能城という城があり潮田家の殿様が治めておりました。
この城には笛がとても上手なお姫様が住まわれておりましたが、後に戦に負けて家臣共々見沼に身投げをされました。
この時、氷川の大神様の化身である見沼の龍神は彼女を不びんに思われ、年に一度だけ蛍の化身となり笛を吹かしてあげよう、と申されました。 時が経ち、氷川参道にこれまた笛の上手な少女・小笛さんが住んでおりました。
6月のある夜、どこからともなくやんごとなき笛の調べが響いて来たので、彼女は笛の音が聞こえる方に行ってみました。
竹やぶをかき分けて進むと、螢が乱舞する井戸があり、その中から笛の音がしてきます。
すると、大きな蛍が井戸の中から笛の音とともに現れ、彼女に語りかけてきました。 「怖がらないで下さい。いつも聞こえる笛の音は貴女でしたか。」 蛍となったお姫様はこれまでの経緯を小笛さんに語りました。 氷川神社の蛍にまつわる伝説です。


〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕


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