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~第58回 ~「疫神と生活の話」

氷川神社では5月21日、世の中に流行病をもたらす疫神(疫病神)を掃却する神事「道饗祭(みちあえのまつり)」を取り行いました。
当日は、八衢比古神(やちまたひこのかみ)、八衢比売神(やちまたひめのかみ)、久那斗神(くなどのかみ)の3柱を祀ります。
私たちの生活圏に、災いをもたらす鬼魅などの疫病神が入らぬよう防ぎ、守護を神々に祈願いたしました。

道饗祭の「道饗」とは、疫神が集落に入り込まぬように、外から来る道の途中に食物をお供えし神事を行い、疫神を迎え払うという意味です。
この神事は10世紀頃に成立した神事に関する公的な祭祀の基本を定めた『神祇令(令義解)』にも恒例の神事と定められています。
古くは毎年6月と12月に京城の四隅において斎行し、流行病がある時は諸国でも行われました。
この6月と12月は、それぞれ大祓がある月です。
大祓は、常に清らかな気持ちで日々の生活にいそしむよう、自らの心身の穢れ、災厄の原因となる諸々の罪・過ちを祓い清めることを目的としています。

昨年より新型コロナウィルス感染症が流行し、手指の消毒はじめ、清潔であることの大切さを世界中が再認識しました。
しかし日本人は古来、神社へのお参りを通して、身につく穢れを祓い、清らかであることの大切さが身についております。
神社は祈りの空間であるとともに、より安全に生活できる知恵を教えてくれる空間でもあったのです。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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