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~第75回~「スサノオノミコトの剣から生まれた女神の話」

日本人にとって身近な神様に「七福神」がいます。
福をもたらすとされる七柱の神々で、近世には七福神巡りが庶民の風習として広まりました。
一般的には、恵比寿・大黒天・福禄寿・毘沙門天・布袋・寿老人、そして紅一点の弁財天の七柱とされておりますが、この弁財天は氷川神社の主祭神である須佐之男命(スサノオノミコト)と繋がりがあります。

神代の時代、スサノオノミコトが高天原に行った時のことです。
突然やってきたスサノオノミコトを不審に思った天照大御神(アマテラスオオミカミ)は、スサノオノミコトに高天原を襲う邪心がないことを確認するために誓約を交わします。
この時、アマテラスオオミカミがスサノオノミコトの剣を噛んで吹き出した霧から生まれた三女神が、宗像大社に祀られる
①沖津宮の「田心姫神(タゴリヒメ。多紀理毘売命とも)」
②中津宮の「湍津姫神(タギツヒメ。多岐都比売命とも)」
③辺津宮の「市杵島姫神(イチキシマヒメ。市寸島比売命とも)」です。

生まれた際「道中に降臨して天孫を助け奉り、天孫に祭(いつ)かれよ」と命じられた三女神は、やがて航海や交通の神としての信仰を集めます。
そして時が過ぎ日本に仏教が浸透すると、仏教と神道を連動させて考える神仏習合が芽生え、仏教の守護神である天部の一つであり、元は河に関わる神である弁財天と同一視されるようになったのです。
特にイチキシマヒメと同一視されることが多いようですが、スサノオノミコトの剣から生まれた女神が、やがて弁財天として私たちに身近な神様になりました。

弁財天とスサノオノミコト。
少し意外な結びつきではないでしょうか。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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