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目は旅をする・後藤繁雄による写真集セレクション

ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をする」は、長く写真家たちと仕事をして、写真… もっと読む
後藤繁雄おすすめの写真集についての記事を月に2~3本ずつ投稿します。アーカイブも閲覧できるようにな… もっと詳しく
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2020年7月の記事一覧

レイナー・クローン 『スタンリー・キューブリック ドラマ&影:写真 1945-1950』/目は旅をする009(人間の秘密)

レイナー・クローン 『スタンリー・キューブリック ドラマ&影:写真 1945-1950』 ファイドン刊 以前、こんなことがあった。 予感というものは恐ろしい。家にいて、ふと思いついてスタンリー・キューブリック監督の『時計仕掛けのオレンジ』を見直したあとに、ふらりと本屋へ寄ったら、何とキューブリックが撮影した「写真集」が出ていて本当に驚い たのだった。

ヴォルフガング・ティルマンス『Conor Donlon』/目は旅をする008(幸福)

ヴォルフガング・ティルマンス『Conor Donlon』 Walther Konig刊 これはティルマンスが、長い時間にわたり1人の男性を撮り続けてまとめた写真集だ。 ドンロンは元はティルマンスのアシスタントであり、展覧会が世界巡回する時に同行する設営スタッフであり、しかしその一方で、ロンドンのクラブシーンには欠かせないレジェンドだった。 2人ともゲイだが、彼らがカップルかどうかは分からない。いや、写真から伝わるのは、そんなことより、その平等性と友情である。

ジョン・ラフマン『The Nine Eyes of Google Street View』/目は旅をする007(パラレルワールド)

ジョン・ラフマン『The Nine Eyes of Google Street View』Jean Boite editions刊 ジョン・ラフマンは古典的な意味での「写真家」ではないし、だからと言って「コンテンポラリーアーティスト」という肩書に分類して、安心を決め込むことも出来ない。 モントリオールを拠点に活動するラフマンへのアートワールドからの注目は加速度的に高まっている。