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細麺か太麺かに確固たるこだわりなんか無いんだよ

ラーメンを食べに行った。ぼくの奥さんは現在絶賛歯列矯正の真っ最中であり、奥さんと一緒にいるときはラーメンを食べに行けないということで、一人になった日はここぞとばかりにラーメンが食べたくなる。

ぼくには、味は大変気に入っているのだが、味以外があんまり気に入っていないラーメン屋がある。まず駐車場が狭い。店の前にギリギリ1台停められるかどうかであり、さらには舗装がガタガタである。そしてあんまり人がいない。店が空いているというのは本来良いポイントでもあるのだが、あまりに人が少ない。ぼくが行く日の半分くらいは店員のほうが客より多い。なんか店員全員に見られているような気になる。

というわけでそのラーメン屋さんに行った。なぜならば味は気に入っているからだ。ぼくは店の前のガタガタの駐車場に車を停めると、中に入り食券を買って店員さんに渡した。このとき、前の客がぼくとすれ違い帰っていった。そして客はぼく一人になった。まじかよと思った。

店員はぼくに言った。
「細麺、太麺はどちらにしますか?」
ぼくは「おすすめはどちらですか」と聞いた。
すると店員はこう答えた。
「それは本当にお好みですね」

お前なあ、とぼくは思った。ぼくは特に細麺と太麺に大きなこだわりはない。本当にどちらでもいいし、「人気なほう」を適当に答えればいい。なんなら今日ちょっと余ってるほうを言ってもいい。とにかくぼくはそっちに決めて欲しかったのだ。その意味での「おすすめは?」なのだ。なのに「本当にお好みですね」じゃねえのよ。だから客いないんだよこの店。

「ふぁっきゅー」と言いながら両目をつぶしてやりたい気持ちになったが、ぐっとこらえて「じゃあ太麺で」と答えた。

ラーメンは美味しかった。スープもぜんぶ飲んだ。味は気に入っているから。きっとまた来る。

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