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短い話

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逃げる夢(短編小説)#シロクマ文芸部

逃げる夢(短編小説)#シロクマ文芸部

 逃げる夢の話をするように。あるいはどこかの国の神話のように曖昧さを物語り、相手に何通りもの解釈を許す。
 心理カウンセラーと話していた。
「絶海の孤島に眠り続けているんです」
 灰色のスーツは清潔だけど長い爪はあまり清潔感を感じない。細い手首にはめられている高級そうな腕時計は、艶のある黒い皮が妙な威圧感を放っていておそろしい。
「絶海の孤島?何の話かしら」
「神話の話です」
 脈略のない話を繰り

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回転木馬(短編小説)

回転木馬(短編小説)

 たとえば目の前に一本のマッチ棒があるとする。
 それを見てあなたは何を考える?
「マッチ棒かぁ……」
 うーんと可愛く唸ったあと、彼女は鼻の頭を指で擦った。それから首をこてんと横に傾ける。
「マッチ棒さん、あなたは赤毛だから、エド・スミスね」
 考え抜いて出した答えはそれらしい。
「さぁ、ギターを鳴らして永遠の愛を歌ってごらん」
 なるほど。それはとんでもない皮肉だね、と言いたくなる気持ちをぐっ

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