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連載 イチロー部屋のイッピン 29.武蔵とイチロー

武蔵とイチロー

武蔵とイチロー、という本の冒頭に、宮本武蔵の肖像画がある。だらんと下がった腕。なで肩。二刀を握る手は人差し指と親指が離れ、力が抜けている。あごも引いていない。

 武蔵の右手に持つ太刀を上げる姿を思い浮かべる。と、イチローの「侍ポーズ」と重なる。

武蔵とイチロー


著者の高岡英夫氏は、以下のように書いている。

400年前、剣聖と言われた武蔵が体現し、残そうと努力した技術を、今、イチローという野球選手が現代流にわかりやすく体現し、表現している。また、イチローのバッテングは、まず下半身が先行して、体幹部が残りさらに肋骨の上の部分「肩包体」(肩甲骨、肩関節、鎖骨の周囲の筋肉)が、特徴的にズルっと残る、その結果、腕が残り、グリップが残る。そして、イチローは上半身と下半身の分化に加えて、さらに上半身が二つに分かれており、まず、下半身が回って、次に肋骨が回って、それから肋骨が乗っかっている部分(「肩包体」)が回っていると書いている。

武蔵は「敵を打つ場合、体が先に打つ体勢になり、太刀はやや遅れて打つものである」と言い、イチローは「バッテングで一番大切なことは、左肩の前にバットを持ったグリップが最後まで残っていること」と語っている。

 武蔵は「五輪書」を書いている。イチローには「五輪書」の“野球の巻”を後世に残してほしい。

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