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【霞が関の人のお仕事】これって縦割り行政?タンザク・ホチキス留め

国や省庁って色んな文書をよく作ってるんですが、見たことある人いるでしょうか。それこそ昔のタウンページくらいあるものもあって、〇〇白書とかだと一般向けなので図書館や本屋で見かける人もいると思います。

それぞれの白書や計画によってテーマはそれぞれですが、例えば、子供・若者白書のテーマだと、子供・若者の生活から、福祉、医療、教育から、環境、犯罪予防、デジタルなどなど、多岐にわたって子供・若者にまつわる様々なことの現状や対策が書いてあります。

子供若者白書

そうすると、じゃあ誰がどう書くの?というと、一人の人が、全部のことをわかっているわけでは無いし、やっぱ書かれていることは適当じゃダメなので、壮大な分業が発生するのです!

どれくらいの分業だと思いますか?章ごと?いえいえ・・・
なんと、ほぼ1行ごとの分業が発生します!場合によっては、1行の中の、前半は○○省、後半は▲▲省ってくらいの細かさです!所掌がまたがるところは、ワンセンテンスに3つも4つもの省庁が協力して執筆、確認作業が発生しているのです!

でも、そんな細かくどうやって分業して仕上げるの?と思いますよね。言ってみればライターが何百人もいる文章をどうやって一つの本にまとめるのよ?っていう素朴な疑問が湧くと思います。

そこで出てくる霞が関ワードが、「タンザク切り」「ホチキス留め」!

霞が関では、主に若手のキャリア官僚が担当の課の「窓口」になります。その人には、毎日大量のメールが課外から送られてきます。それこそ、ほぼ関係ないようなメールから、超重要案件まで。そしてしょっちゅう流れてくるスパムメールのような、「手を洗え」「セクハラ・パワハラすんなよ」啓発?メール・・・。私ですら、大体体感で1分間に2〜3通はメールが来るので、ポチポチメールを読んで消す作業だけでも大変です。この窓口の人が、課外から来る大量メールを読んで、仕分けて、必要なもの、重要なものは課内の担当の人に作業発注依頼で送るという作業をしています。

一番大元になるのは、その文書の取りまとめをしている部局(だいたい官房総務課と呼ばれる総務的な仕事をしているところがやってるかな・・・ものによりますが。内閣府や内閣官房などは国全体にまたがるテーマのまとめをする官房総務課的な役割があります)が、
「はい、ここのテーマは〇〇省!▲●省!」とざっくり仕分けて、その省庁に送りつけます。
その後、そこの省庁の官房総務課と呼ばれる部署の若手が、
「はい、このセンテンスは〇〇局!▲▲部!」ともう少し細かく切り分けて、その局に振り分けます。
そして、その局の総務課的なところの若手が
「はい、この1行は〇〇課、▲□課!」とさらにさらに切り分けて、担当課に振り付けます。
最後に、その課の若手の人が一生懸命文章を読んで
「はい、この1行は〇〇さん、この単語は▲○さん」と人単位で担当者に作業依頼をします。

いや〜この膨大なる分担作業、気が遠くなります。この切り分ける作業を

ザ・タンザク切りと呼びます!七夕の短冊のように、小さく細かく切るからですかね〜。

この末端まで組織的に届く仕組み、まるで毛細血管だなあと思います。

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そして、担当者がセコセコ1行を書いて、そしてそれを課でまとめ、さらに局でまとめ、省でまとめ、最後に全部をまとめ上げて

ようやく出来上がりです!

そして、大元の依頼してきた部署が「がっちゃんこ!」とまとめあげることを「ホチキス留め」と呼んでいます。

こういう総務課的な仕事をしている課のことを、ある意味個別の案件を持たないで仕事を振り付けているだけ、というイヤミの意味を込めて

「官房は内容わかってなくて、ホチキス留めするだけが仕事だからな〜」という人もいますね。

とはいえ、ここの文章はこの部が担当、って覚えるだけでも大変そうだなあと思うところです。

話は戻りますが、この白書ってやつ、読むとその分野のありとあらゆることが書いてあって意外と面白いのでよかったら読んでみてください。

そのライターは何百人、何千人もの霞が関の人たちです!