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[霞が関の人の生態]ぐるぐる人事異動

「いちかさんはいまの部署にどれくらいいるの?」

「1年半です〜」

「おお〜結構古参だね〜。ひょっとかして〇〇があるから3年目もあるかもよ?」

「いや〜〜もう勘弁してください。お腹一杯です」

これ、人事異動前の日常会話です。ちょっと普通の感覚だとあれあれ??と思うことありませんか?

そう、それは1年半で古参!2年で異動ってところです!

この2年で異動、しかも部内異動ではなく、全く違う部署だったり、場合によっては違う省庁に行きます。

これは、フツーの会社でも、地方公務員でもこんな短いスパンでの人事異動はないんじゃないでしょうか?

しかも、2年で最長なので、場合によっては半年とかいう時もあります。いわゆる玉突き人事とかが多いですが。

そして、人事異動の時期も全員3月末とかではなく、通常国会終わりに幹部の大異動があるので、しょっちゅう人が入れ替わります。

そして今はコロナ。突発的なコロナ対応で人事の増員や倒れた人の後釜として配置されたりで、しょっちゅう人事異動が年中起こっています。

周りも自分も2年以内に異動していくので、まあしょっちゅう、一緒に働く同僚が変わるんですよね。

しかも、前任が辞めてしまっていたり、海外に赴任したりしていたりすると、引き継ぎを受けることもままならない時がしょっちゅうです。

こんなんでまともな仕事ができるの?と思う人が多いかもしれません。

なんと、驚きなことに実際できちゃってるんですよね・・・最初の1週間は周りに聞きながらですが、それ以降は大抵の人がチャチャっと仕事をするようになります。皆さん、ホント恐ろしい適応能力だなあと思うところです。

そして、2年って短くない?慣れた頃に異動なんじゃ?と思う人もいると思います。

わたしも、入省した時には、やっていけるんだろうかと不安になったし、1箇所に長く働きたいと思いそうと思ったけど、実際働いてみると、「2年でお腹いっぱいや!」というのが実感です。

多分、実感するに、仕事の内容が濃過ぎて、スピードが早過ぎて、1年半でも体感5年分くらいです。すっごい濃いエスプレッソを毎日2リットル飲んでる感じ?

ちょっともうコーヒーは飽きたから(そして体調ももう崩しそうだから)、今度は趣向を変えて、濃いは濃いでも紹興酒を飲みたい、という感じですかね。。。またもや体に悪いですけど。

周りの人も、どんどん入れ替わるので、生き字引のお局様に一気になってしまい、「前はこうでしたけど」なんて台詞を言いがちになってしまいます。そういうのも、新しい風を受け入れない人みたいでいやです。

人事の新陳代謝が激しいっていうのは、確かにマイナス面もあります。

一つは、上司が変わると方針が変わることがあるので、一貫性のないことをしているように見えることもあるし、外部の人はやりにくいと思います。(内部の人間も上司の方針が変わって振り回されることはよくあります)

また、細かい引き継ぎができていなくて、10年以上前のことだったりすると、もう古事記のような言い伝えベースになってしまいます。

でもプラス面もやっぱりあって。大きくは特定の企業や団体や人とのツルミの防止。これがぐるぐる人事の大きな理由とも聞いてます。

そして、実際働く中で感じるのは、「嫌な奴とも最大2年でお別れ」できることによる心理的負担の軽減!

コイツだけは許せない!とか、あのパワハラなんとかならんのか!と思った時、(たまに外部の人でも辛く当たってくる団体などの付き合いで苦しくなっても)人事異動がほとんどないと絶望してしまいますが、2年ならなんとかかわしながらやってこうという気になります。(まあホント無理なら人事に言いますけど)。

他には、2年なら猛ダッシュで走れるということ。

同じことを10年するとなると、今じゃなくていいやとか、リスクを取らないでそっとしておこうという心理が働きますが、2年という短い期間だとモタモタしている時間はないので、これだけは自分の目が黒いうちにやって去りたい!と豪速球で投げ込みできます。全部自分で終わり切ることはできないことが多いので、後任の人が後を引き継ぐのですが、後任は後任で自分の在籍中の時のトピックスを豪速球で投げ入れ、前任の作った仕組みを軌道に乗せ、新しい目をその後任に託して去るという仕組みです。

大体異動する時は、やり切ったぜ!思い残すことはないぜ!という形で去りたいものです。そうなる時と、タイムアップという時があり、なかなか難しいですが、2年は大変に濃い〜時間なので、異動する時にはそれなりにスッキリはあります。

このグルグル人事異動の霞が関人事。異動先もまた色々なんですが、それはまたの機会に書きたいと思います。

たまに、異動した先で、前同僚だった人が、仕事上で敵対したり調整したりしないといけない部署にいたりすると、「あれ、実際どうなってんの?」とか「ちょっと担当では仲良くやってこうよ」「一緒にこれやらない?」とこっそり情報交換したり、協力関係結べたりするので、いくら一緒に働くのは刹那的だとしても、信頼関係を作るのは大事だな!と日々思うところです。