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2023年1月から3月に岡野大嗣さんのオンライン短歌教室を受講した話

今年の1月から3月にかけて歌人の岡野大嗣さんのオンライン短歌教室「言葉が『うた』になるとき」を受講しました。それが本当に……本っっ当に良かったのでここにすこし書いておきたいなと思います。お話の内容のネタバレはしません。というか私が中途半端なことを書いて中途半端に伝わってほしくない……ので気をつけて、私の感想を書くつもりです。


短歌教室のことを書く前に私と短歌について軽く。別アカのフォロワーさんに短歌も好きな方がいらっしゃってたまに好きな短歌をツイートされてたんですね。それで知って「うわー!めちゃくちゃいいなー!」と思った短歌がこちらです。

たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意

岡野大嗣『たやすみなさい』

初読で「はー……!!(納得)(めちゃくちゃいい)」となりました。この方の短歌をもっと読みたい!と思って数年前に歌集『たやすみなさい』を購入しました。

読んでみて「か、感性がぴったり……」「なんでこんな『わかる』ものを作れるんだ……」と衝撃を受けました。何度も読み返しましたしいろんな方に薦めました。本当に大好きで大切な一冊です。
それから年に1、2冊くらい歌集を読んでいて、本格的に短歌にハマったのは去年の春くらいに岡本真帆さんの「水上バス浅草行き」を読んでからです。そこからは早かった。木下龍也さんの「あなたのための短歌集」を読みぼろぼろ泣いて、こんなすごい短歌を詠む人の言うことなら信頼できる……!と「天才による凡人のための短歌教室」を読んで、「私も短歌作るぞ……!」ってなりました。数年前から些細な感情をたまにメモしてて、でもそれをどうするかは決めてませんでした。いつか小説にする?漫画描く?エッセイにする?とかぼんやり思ってただけで。でもぱっと「そうだ、これは短歌だ……!短歌にすればいいんだ……!」と思いました。

さて、そんなこんなで短歌を詠みはじめました。しかし当然ながら全然上手く詠めない。なんかちがう。雑誌「ダ・ヴィンチ」の「短歌ください」に投稿しても箸にも棒にも掛からない。そりゃそうだな……。いつだったか「短歌ください」の投稿数は2000首とか見て「あ、無理だ」と思いました。それで別の投稿先を探して「うたの日」にたどり着きました。投稿して、投票して、結果を見て。おおー、音符(♪)もらえてるのうれしいけどやっぱり下の方ですね(うたの日ではいいと思った短歌に「♪」がつけられる)。そりゃまあそうだな。そして自分なりにうたの日で上位の歌を研究して傾向と対策で作った歌が運よく薔薇を取れました(首席の短歌には薔薇がつけられる)。うれしいのはうれしいです、もちろん……でもこれがほんとにやりたかったことか……?と言われると……。もうこの辺りでは迷ってぐるぐるしてます。短歌って何???私はどういうスタンスで短歌に向かえばいいの???


前置きが長くなりました。そんなこんなで絶賛迷い中のときに大好きな歌人の岡野大嗣さんがオンラインで短歌教室をやるということで思い切って申し込みました。
そして「短歌って何???私はどういうスタンスで短歌に向かえばいいの???」という疑問が解消されました。
急にではないですよ。このときの短歌教室はひと月に1回、計3回あったので3ヵ月ですね。時間をかけてゆっくりと岡野さんの短歌へのスタンスや短歌の作り方などお話しされたことを自分の中で咀嚼して、課題を作るときもいろいろ考えて、その結果、自分の中でひとつ、スタンスを発見できたという感じです。だから本当に受講して良かった。

岡野さんは岡野さんの短歌の印象と同じでやわらかく穏やかにお話しされる方で教室と言っても本当に穏やかな良い時間でした。第1回で岡野さんは「自分にとって短歌とは?」や「『いいね』との付き合い方」などを丁寧にお話ししてくださって、また短歌を作るにあたって「短歌の『たね』を見つける」こと、そのコツなどをお話ししてくださいました。内容はぜひぜひみなさんが受講して直接聴いてみてください。本当に良かった。聴けて良かった。これを知ってるのと知らないのとじゃ短歌の作り方もスタンスも全然ちがうんだろうなって思いました。また、この岡野さんのお話しされたように作ったら短歌を嫌いになることも短歌で苦しむこともなくなるんじゃないかなと思いました。「あぁー、そうすればいいんだ」「それで、いいんだ」という感じ。自分の中ですごく楽になりました。大切なことをたくさんたくさん教わりました。私みたいに詠みはじめたばかりで迷ってる方に特におすすめしたいです。長く詠んできた方も新しい視点が発見できてとてもいいと思います。

第2回、第3回は生徒(受講生)が提出した課題の短歌を岡野さんが見てコメントしてくださるというものでした。めちゃくちゃ緊張したしめちゃくちゃうれしかった……。だって私もともとは岡野さんの一ファンぞ???短歌見てもらってコメントもらえるなんてファンサ神か???……ごほん、取り乱しました。でも本当に夢のような素晴らしい時間でした。アーカイブで自分の歌のところ何回も観ました(期間限定でアーカイブがあるのがうれしいところ)。たくさん褒めてくださって本当にうれしかった……褒められて伸びるタイプなので……。そしてここは変えてもいいんじゃないかなというところも優しく丁寧にお話ししてくださって改作例も出してくださってとても勉強になりました。ほんとにほんとに穏やかにお話ししてくださるので全然言われてもダメージ受けないしただただありがたかったです。やっぱり短歌教室っていうとダメ出しみたいなのがこわいってイメージあるかもしれないんですけど、この岡野さんの教室は大丈夫です!そういう面でもほんとに最初に受けたのがこの教室で良かったな……。

他の生徒さんの短歌と短歌のたねを読むことも他の生徒さんへの岡野さんのコメントを聞くこともすごく勉強になりました。画面の前でめちゃくちゃメモ取ってました。だから教室の時間は毎回あっという間。とても充実したものでした。


……まだまだ短歌教室の思い出はたくさんありますし書こうと思えばいくらでも書けるのですがあまり書きすぎるのもアレなのでこの辺りで。本当に良い経験をさせていただきました。ありがとうございました!


この記事に書いたことは私が受講した2023年の1月から3月に行われたオンラインでの短歌教室のことで、今現在の短歌教室は変わってるところもあると思いますので詳しくはホームページをご覧くださいね。よろしくお願いします。


最後に、教室でお話があった「あなたにとって、短歌とは何ですか?」の私なりの答え(すべて受講したあとに考えたもの)と、この短歌教室で作った気に入ってる連作を載せて終わろうと思います。


◆「あなたにとって、短歌とは何ですか?」

現時点での考えですけれど、「うれしかった記憶を残すためのもの」です。短歌を詠みはじめる前は短歌ならつらい思いを乗せられるのではないか、そしてつらい思いを短歌にすることで自分が救われるのではないか、と思っていました。そういう短歌もすこし詠みましたし、詠んだことで多少救われることもあったのですが、それをやり続けたいかというとちがうかなぁという感じです。それよりもいつかは忘れてしまいそうなうれしかったことを残しておきたいと思います。特に私の好きな家族や永別した親友との思い出を短歌にして残したいです。(私はたぶん孤独なおばあさんになるのでそのときに自分の短歌を読んで「ああ、こんなこともあったなぁ」と微笑む、というのが理想です。)

2023年3月


◆連作『真夏のひかり』

永別を受け入れてなお向日葵はきみへ向かって咲いたのでした
映画館で聴くよりずっと良かったなきみが奏でる「いつも何度でも」
一限をサボって行ったケーキ屋でショートケーキをふたりで崩す
きゅーけぇと言ってノートに突っ伏したきみのつむじに真夏のひかり
FAXは静寂の夜を切り裂いてきみそのものって紙を吐き出す
砂漠にも花咲きました 肋木の上でともだちになった日から


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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