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無理ゲー社会

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 『ある政治家がSNSで「あなたの不安を教えてください」と訊いたところ、「早く死にたい」「生きる意味がわからない」「苦しまずに自殺する権利を法制化してほしい」』とのショッキングな始まり。
 著者橘玲は『彼ら/彼女たちが直面しているのがたんなる「生きずらさ」ではなく、もっと暴力的で対処不能な現実』を感じたと言う。

 少子高齢化、格差拡大、米中対立、果ては地球温暖化などによる若者たちの将来への不安がそうしたコメントを寄せたわけで、若くはないぼくも将来どうなるのか、極めて不安。

 著者橘玲は地球温暖化は信じているようでなんなんだけど、少子高齢化はすでに8050問題(80代が50代の面倒を見ている)があり、人生100年時代、それが、9060、10070問題と続く。ここまでくると、1007040になりそう。子どもがいて、のこと。少子化は止まらないので、日本はいずれジジババ社会となり、だれもいなくなる・・・のでは? だれもいなくなれば、人口の多い中国人が労せずして日本列島を乗っ取れる。

 格差拡大もどんどん進む。
 日本の場合、たとえばシングルマザーへの手当てが弱いなど、少子化と貧困化は歯止めがかかっていない。
 BI(ベーシックインカム:国民に生活費一律給付)もあるけど、それだと勤労意欲をなくすことになるので、COST(共同所有自己申告税)になるのでは、と著者橘玲は若手経済学者グレン・ワイルの提唱を紹介している。
 所有についても税金がかかるので、たとえば絵画を落札して数億円払って、さらに税金を納め続けることになる。それができる大金持ちと、その税金で普通の人たちが潤う。『「保有する価値」ではなく「使用する価値」』により『富の概念が変わ』る。

 格差拡大は、貧富のことでもあるけど、背景には、学歴格差がある。すでに、大卒とそうでない人の経済格差は起きている。アメリカではプアホワイト=大卒未満の白人の自殺がどんどん増えているそうな。

 格差の拡大は、世界を震撼させるような事件が起きると縮まるらしい。
 今のコロナ禍はそれほどの事件ではないらしい。
 ともあれ、格差がほぼなくなり、人々が平等に暮らせるようになると、次に来るのは、評判格差だとは著者橘玲言う。
 人間も本来動物なので、オスはメスを求め、メスはオスを選択するのが自然の姿。したがって、オスの中で、もてるかもてないかで格差が拡大する。選ぶ側も選ぶ側で競争が激化して、「美の競争」が始まる。

 やれやれ、格差というものはなくならないものらしい。
 『無理ゲー』という題名が付くわけだ。

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