見出し画像

中国のブタが世界を動かす-食の「資源戦争」最前線

 トンでもないことになりそう!

 改めて、中国の人口の多さには思い至らされる。14憶人というのは、日本人のほぼ10倍・・・見当がつかない。
 著者柴田明夫は、この人口の、文字どおり人の口を満足させるために世界が翻弄されると危惧する。
 ぼくなんかは、翻って、なぜ中国共産党がこれだけ広大な場所を一国として支配しなければならないのか、疑問ではある。ヨーロッパもEUという一国的な形ではあれ、それは経済圏という圏であって、それぞれの国は独立している。
 中国と呼ばれている圏も、実は多民族なのだから、それぞれの国として独立させてもいいのでは? そうすれば、チベット問題などは起きないように思える。
 中国共産党という一党が支配せんがため、それぞれの土地に合った政策がとれずに十把ひとからげになるため、方や豊作、方や飢饉という状態が起きているのでは? 毛沢東の文化大革命の失敗もそこにあるのでは?

 いずれにしても、中国の食肉の最たるものは豚であり、その豚を養うために大量のトウモロコシなどの飼料が必要になる。今までは国内で間に合っていたものが、口蹄疫などの疫病で豚が大量に頓死したり、異常気象による洪水、また、売れるものに群がる中国人気質から国内の飼料が不良だったりと、輸入に頼らざるを得なくなった。
 その影響で、先の『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』でも触れたけど、アルゼンチンなどは、国民を飢えさせてでも飼料作りに励み、最近のニュースでも知れる通り、日本にも飼料はもちろん食料の船便も滞るようになっている。
 米中覇権戦争中とは言え、アメリカは中国へどんどんコンテナ船を送っていて日本など素通りしているほど。

 飼料と言えば、水の問題も引き起こす。
 なぜか、水資源の乏しいはずの中国の水道料金は日本の10分の1ほどらしい。だから、じゃんじゃん水を使ってしまうとか。
 水資源確保のため、ダム建設を多くし、インドシナ半島への水量が減ると言う国際的な問題も起こしている。
 一方で、だれかの著書にあったように、皿を洗う水を取り替えることなく使い、そのために腹を壊したという話もある。中国と言ってもなにせ人口もそうだけど、広い広い。

 トウモロコシも、ガソリンの代替として特にアメリカで注目されているエタノールの原料ではあるけど、中国の豚を養うために不足が見込まれ、地球には優しいものの、経済的には重くなりつつある。
 豚を食わせるために人が飢え始める。本末転倒。

 この本で触れている、米カリフォルニア大のチームが『サイエンス』に発表している、温暖化が進んで猛暑や干ばつなどの異常気象が増えると、個人レベルの暴力行為から内戦、文明崩壊にいたるさまざまな紛争が起きやすくなると言う。
 「紛争の発端はさまざまだが、環境が悪化して食料や財産が脅かされるように感じると、人の行動が暴力性を帯びやすくなる」という指摘、最近、凄惨な事件が増えているように感じられるけど、やはり、世界が不安定になっている影響では?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?