前の職場の同僚、営業部の川谷君はいっつも謝ってばかりだった。社内での彼の印象は良く言えば真面目、悪く言えば愚鈍。 例えば、彼は上司と酒を飲み交わすような場で巧妙に愛想を振りまくことも、絶妙なタイミングで的確な合いの手を打つこともできなかった。 軽快なジョークで場を盛り上げる彼の同期を見た上司から「川谷、お前も何か気の利いたことでも言えないのか」と振られれば絶対絶命とばかりに顔を青ざめ「すみません」、かと思えばおもむろに立ち上がり、「ゴッドファーザーのさわり部分のマーロンブラ