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七屋糸のポートフォリオ

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閲覧数や人気の高い記事を集めました。自己紹介代わりにどうぞ。
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記事一覧

「食わず嫌いしない」が1番の食わず嫌いだった

いわゆる「苦手なもの」はあまりない。 ゆいいつ思いつくのは味噌汁に入った長ネギくらいで、…

七屋 糸
4年前
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花模様は明日に溶けて #教養のエチュード賞

二枚の写真がある。 池袋のはずれにある小さなアンティークショップで買ったフォトフレームに…

七屋 糸
4年前
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手品師は薔薇を添え、鳩を出さない

「私の愛を受け取ってくれないか?」 差し出されたのは薔薇の花束。それも禍々しいほどの深紅…

七屋 糸
4年前
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『冷蔵庫の中から愛を込めて』2020.11.10

七屋 糸
3年前
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バス、走る。 #旅する日本語

からかわれているのだと思った。 「生一本だね」 笑った貴女の顔は俺の人生でもっとも魅力的…

七屋 糸
3年前
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『冷蔵庫の中から愛を込めて』2020.11.29

七屋 糸
3年前
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『冷蔵庫の中から愛を込めて』2020.12.3

『冷蔵庫の中から愛を込めて』2020.10.6

七屋 糸
4年前
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『冷蔵庫の中から愛を込めて』2020.10.5

七屋 糸
4年前
31

空の青さはわたしが決める

灼熱に汗を拭いながらキャラメルフラペチーノを飲む。それがわたしの青春だった。 片田舎で唯…

七屋 糸
4年前
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「良い人」にあだ名をつけて

「良い人」は、いつから誉め言葉じゃなくなったんだろう。 知人から贈られた嬉しい一言を思い…

七屋 糸
4年前
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「さよなら」には三日いる #お気に入りの音楽で言葉を綴ろう

二年付き合った彼女に別れを切り出したら「三日だけ待って」と言われた。 大事な話があるとメ…

七屋 糸
4年前
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土下座する彼の背中越しに「誰よ、その女」とつぶやいた

二度目の「もう浮気はしません」の言葉を、わたしは1ミクロンも信じていなかった。 だってそ…

七屋 糸
4年前
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光を待つひと #ナイトソングスミューズ

駅のホームのへりに立ち、遠ざかっていく電車の後ろ姿に手袋をした親指をあてる。羽虫でも押し潰すみたいに鉄の塊が見えなくなって、やがて雪景色の中へ溶けていく。絵画のように動かなくなった景色を眺めて、やっぱり乗ればよかったと今更に思う。 時刻は午後十時。乗客の途切れたホームはコンクリートの無機質さが凶暴に足元を冷やし、座面の固いベンチにじっと座っているのさえ辛く感じた。わたしはカサついた赤切れの手を白い息で温めながら、あてもなく狭いホームの上を歩き回る。じっとしていると際限なく体