地獄待ち
「四五九」には「ぢごく」とルビが振ってある。
地獄。
そういう番地が恐山にあるかどうか知らない。
麻雀では「場に既に二枚切れている西の単騎待ちのことを地獄待ち」という。
西とは極楽浄土の方角。
本来なら「極楽送り」だが、闇討ちのような待ちなので「地獄待ち」だそうだ。
出目馬券で言うなら、「4・5・9」のBOX買い。
一発逆転の穴馬券、地獄からの帰還のための蜘蛛の糸だ。
ふと思うのは、賭けに関係のない日常で俺は地獄待ちをしていないだろうか、という自戒だ。
吹いているのは死方の風。
渦巻く怨念に目が濁らされていないか。
風景は港町四五九番地。
ゆっくり時間をかけていい。
地獄待ちに気を付けて。
待ち時間。
罪を数えると歌ができる。
その世界から逃亡するのでなく、定住するような歌声。
汚れた色の息遣い。
この歌を駅のホームの壁に石で刻んだら、また罪が増える。
そしたら、また歌ができる。
終わりがない。
歌を作るな。
待ち時間のルール。
浅瀬を通過しろ。
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