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楽園ジューシー 坂木司

あらすじ

大学生の松田英太は名前は日本人だがいろいろな国の血が混じっているミックスで外国人と思われることが多い。そのせいで小学生の頃いじめにあい、その時に仲良くなったゴーさんとアマタツの友情だけを糧に過ごしていた。人生まるで余生を送っているかのように、そんな大学の春休み、バイト先のお弁当屋が休業することになり、沖縄へリゾートバイトへ行くことになる。
ホテルジューシーの続編というより、スピンオフ作品になります。


ここからネタバレ含む感想

いじめられ、外見の違いから社会の中で疎外感を感じていた英太は自分に自信がなく、周りの人のことが気になって仕方がない性格だった。
ホテルジューシーの面々は前作と変わらず、いい加減なオーナー代理、料理人の比嘉さん、お掃除おばあちゃん二人、前作の通り同じような日々を送っている雰囲気がよく伝わってきました。前作に出ていた柿生さんは名前だけ登場して、バイトが終わった後にアルバイト向けのマニュアルを残してくれていました。自分の時は苦労したから後の人たちが少しでも不安なく仕事できるように考えたんだなぁ~としみじみ感じるところがありました。
さて、坂木さんといえばお仕事作家さんでお仕事の描写がたくさん出てくることが多いのですが今回は仕事描写はあまりなく、ほとんどが英太の心の動きにフォーカスされていました。小さい頃からいじめにあい自分の殻に閉じこもっていた英太ですが、沖縄に来て自分の外見があまり目立たなくなったことどこかホッとししつつ、それでも自信なさげに仕事を続けているというところで、この話最後はどうなるのか、と思ったら最後に急展開な手のひら返しをくらい足元から自分の立ち位置が崩れ落ちるような状況に遭遇します。英太の視点で読んでいたので、急に「えっ」って感じを自分自身受けました。まぁ、確かにそうゆうのってあるよな…と思いつつ、バシッと言ってくれるのが親切なのか、余裕のない八つ当たりなのか、その辺りは本書の中では推測しかできなかったので難しいなと思いながら読んでいました。ということは、自分にも似たような部分があるのかもしれませんが…。
英太はこの経験からようやく独り立ちできたのかなと思いました。


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