記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

星をつなぐ手ー桜風堂ものがたりー 村山早紀

桜風堂ものがたりの続編。
前作の桜風堂ものがたりは、不幸なトラブルから話が始まり、特に前半は重い感じの話でしたが、こちらの続編では、桜風堂を引き継いだ月原が今後の書店の運営を悩みながら、そして、周りの人々がいつでも手を差し伸べる用意をしながら温かく様子を見守っているような物語です。
お話は、月原が中心の語り手となる主軸のお話とそれ以外に幕間として月原の身近な人(一部人でないが…)の物語が差しはさまれます。この2つの構成が最後の最終章で一つの形を作っていくという物語構成は、話の内容をグッと深くしているように感じました。
この物語の中には、書店の取り巻く様々な負の事情が垣間見れるのですが、作中に出てくる人たちは自分のできる範囲でそれらを完全に防ぐことはできなくても少しでもその時を遅らせるようなそんな祈りのような作者の気持ちが込められているような気がします。登場人物の思い出の中に出てきた様々な今は無い街の書店、そして、その書店が消えてしまったことを知ったことときの何とも言えない後悔、そしてその後悔を繰り返さないために様々な形で桜風堂を助ける力として正の力として作用していく…そんな感じのお話です。
最後のあとがきで、作者が桜風堂のお話はこれで完結ですと書かれているのでこの後はおとぎ話に出てくるような平和な時間が過ぎていくのかなと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?