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異人館画廊 谷瑞恵

1.盗まれた絵と謎を読む少女

イギリスで図像学を学んでいた此花千景は祖父が亡くなったのを機に日本へ帰国した。祖父が残した手紙から祖父が誰かに千景のことを託していることを知る。
そんな千景に盗難絵画の鑑定依頼が入る、ある仲介業者からの推薦だったようだがそれがかつて千景の絵を馬鹿にした西ノ宮透磨だった。透磨にいい思い出のない千景は反発しながらも盗難絵画の探索の手伝いをする。
絵画から直感的に図像を見る力がある千景だが絵を描く才能は皆無らしくもっぱら見る目が天才的らしい。一方、若くして父から画廊を受け継いだ透磨いろいろ苦労しながら傾きかけた画廊を立て直したかなりやり手である。コバルトノベルだけあってこれだけそろえばラブコメ一直線になりそうですが図像に関してはかなり詳しい説明があり、脇役キャラクターもあまりリアリティのある人物たちではないのですがキャラが立っていて今後の展開が楽しみです。

2.贋作とまぼろしの絵

千景は、ブロンディーノの贋作の噂を聞き調査に乗り出す。高級画廊プラチナ・ミューズが手広く扱っているという噂を聞いた千景は透磨と二人でプラチナ・ミューズのパーティへ潜入するがそこには怪しい絵画は無かった。
一方、透磨は昔の恋人志津香から知り合いが残したコレクションから呪われている作品を見つけてほしいと依頼を受ける。
今回のテーマは、ブロンディーノの呪われた絵画、この絵画を手にしたものには不幸が訪れるという。千景は調査に乗り出すが、その過程で透磨と衝突カゲロウの協力を仰いで自力で調査を進めようとする。
周りから見ているとすごくわかりやすい二人の仲たがいを横軸に、話が進みますが段々ラノベ風な展開になってきました。大人には、ちょっと甘すぎるかな~と思いました。呪いの絵画の話はなかなか興味深かったです。

3.幻想庭園と罠のある風景

大学の恩師からブリューゲルが描いた図像術の絵が日本に存在するか調査を依頼された千景は、ブリューゲルのコレクターの波多野靖史を訪ねて仁和島に向かう。波多野氏からは、波多野氏が手掛ける庭園を完成させることを条件に絵の調査させてもらえる約束を取り付ける。
しかし、庭に足りないモチーフとはイカロスの墜落と気づいた千景はそれが波多野氏の問題児の息子務のことに思え言い出せない。そして、島の民宿の娘初美が行方不明になっていること、島でドラッグパーティが行われていることを知ったCubeメンバーはそれぞれ調査に乗り出す。
今回は、親子不和のお話で、波多野親子と千景と千景の父親の関係も重なります。波多野親子は、絵の誤解を解いたことから長年の呪縛も解けたようでめでたしで終わります。千景自身と両親の複雑な関係がこれから徐々に明らかになるのかな…と思いました。

4.当世風婚活のすすめ

成瀬家が代々保管している絵の鑑定を依頼された千景は透磨と二人で宝塚にある山間の村の成瀬家を訪れた。しかし、成瀬家の当主、成瀬美津から鑑定を依頼した絵が行方不明になっていることを聞き、さらにその絵を取り戻してほしいと依頼される。絵を持ち出したのは美津の養女雪絵と聞き、雪絵を親しくしていたという実業家の会社が主催する婚活パーティに潜り込むが…。
今回は、事件を追っていくうちに、実は千景は母と成瀬家に行ったことがあり、さらに千景がその時に問題の絵を見ていたかもしれないことがわかります。絵そのものは見つからないけれど、代わりにボカーズの当世風結婚の版画から問題の絵を推定することになります。
中々、人を信じることができない千景ですが、事件を経験するごとにCubeのメンバーのことは信頼できるようになってきているようです。

5.失われた絵と学園の秘密

鈴子の友人の知り合いである鈴蘭学園の理事長から事件の依頼を受けた千景は、転校生として学園に潜り込み調査にあたる。聞けば、美術部の生徒が自殺未遂を起こしその生徒が描いていた絵が行方不明になり、さらにその絵には図像が使われているかもしれないとのことだった。
このシリーズの前作辺りからこのシリーズの筋が見えてきて、図像術を使った絵を手に入れたいグループ VS Cubeという構図が見えてきているけどここに千景の父がかかわっているような感じで、千景の誘拐事件の真相が見えるのも近いのかなと思いながら読んでいます。図像は現代に再現できるか…というのも関係しているのかなと思います。
この話の中で千景に同年代の友人ができたようなので今後も登場するのかなと思います。それから、千景と琢磨の間がどうなるか…、意外に京一よりもカゲロウに気を付けたほうがいいのではと思いますが…。

6.透明な絵と堕天使の誘惑

人の精神に危険な影響を及ぼすという絵がボストンの図像術研究所から持ち出され、持ち出したのは日本人だと連絡を受けた千景は、最近心霊スポットとして有名な「切山荘」という廃屋に見ると不安になる絵があるとのうわさを聞いて透磨と二人でそこを訪れる。そこで、女性が倒れているのを発見する。その壁に描いてあった絵をヒントに絵の作者真柴を探し当てる。
千景の誘拐事件の真相編です。誘拐事件の日、何があったか思い出そうとする千景ですが、自分が人を不幸にする図像を描いていたのではないかと不安になります。さらにこの話の中で千景の祖父、統治郎が図像に傾倒していてるという事実も明らかになります。今後、本格的に展開していくのかなと思いますが本丸は父の伸郎との対決なのかな…と思います。千景と透磨の間柄もほんの少しだけ進展します。割り込みしてくるのかと思ったカゲロウはそうゆう雰囲気でもないのでお友達ポジションなのかな…とか続編に期待します。

7.星降る夜をきみにささぐ

日本での生活にも慣れた千景はクリスマスシーズン、鈴子のかかわっている財団のチャリティー絵画展の企画を手伝うことになった。テーマはアウトサイダー・アート(美術の教育を受けてない人が描いた絵)だった。そんなときまた従兄弟で刑事の阿刀が強盗事件の犯人の押し入った家にあった絵を見て転落死する事件について協力を依頼される。
その家の壁には、被害者の駒川稔が描いた絵が飾ってあった。その絵に千景は惹かれる。犯人の見た絵はカラヴァッジョの描いた絵らしいと聞かされる透磨と千景がその絵について詳しく調べると意外な関係が浮かび上がってきた。
父親に顧みられなかった子が偶然が重なって出会うことから事件が始まっていた。千景も父親に顧みられなかったことからどこか稔に対して情のようなものが湧いていてほっとけないという感じがよく出ています。
透磨は自分の気持ちを意識しているものの、千景にアプローチするか迷い中でそんな中、千景がイギリスに行くかもしれないと心穏やかではなさそうです。そんな事件の解決をきっかけに千景は博士課程のテーマをみつけイギリス行きを決めます。第1部完…。
第2部は、ちゃんと始まるかな…。

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