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十字架のカルテ 知念実希人

あらすじ


精神科医の弓削凛は、有名な精神鑑定医である影山司の助手として精神鑑定の勉強をすることになった。最初に助手を務めたのは歌舞伎町無差別通り魔事件の犯人、白松京介の鑑定だった。影山と一緒に白松の鑑定を進める過程で影山が白松について気になることがあるといい、凜は影山の助手として白松についていろいろ調べることになるが…。

ここからネタバレ含む感想


帯などに「新しいタイプの探偵」と書いてありましたが、読んでみるとなるほど…という感じでした。ミステリーとして読むなら探偵影山、助手弓削凛という役割です。
精神鑑定がテーマなので、事件も犯人もかなりレアなケースが多かったような気がしましたが、作者がお医者さんなので病気に関する内容については丁寧に説明も入っているのでとても勉強になります。特に精神疾患については他者にはわかりにくい部分が多いのですが、小説で読むことにより状況などよくわかりました。(もちろん、ケースバイケースで判断が難しいのは前提ですが…)
さて、語りの凜ですが、高校生の頃に親友を事件で亡くしそのことが大きく人生に影響を与えています。一方、探偵役の影山ですが、これまでいろいろ試行錯誤を繰り返しながら精神鑑定を行ってきたような感じですが、話の端々にそんな空気を醸しながらも精神鑑定医としてプロの鑑定を粛々と重ねていくような職人肌のようなお医者さまです。今回の話では、精神鑑定が主でしたが、精神科医としても優秀なんだろうなと感じられました。
凜は闇のような中から、精神鑑定の勉強をするために影山の助手を務めて、物語の中でも医者としてすごく成長しているなというのがよくわかり、凜の闇をつくった事件も最終話で解決するので、その後の凜がどうしたかも少し気になります。続編があるなら読んでみたいです。


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