Iの悲劇  米澤穂信

市長の肝いりのプロジェクト、住民のいなくなった蓑石地区の集落復活プロジェクトへ配属された万願寺は、西野課長と新人の観山と一緒にプロジェクトを進めていくが、西野課長は仕事をサボることに勢力を注いでいるように見えるし、観山は若者の明るさはあるが少し軽い言動に不安がある。
そんな中、新しい住民を迎えた蓑石地区では次々と不思議なトラブルが起こる。


ここから、ネタバレ含む感想


プロジェクトの開始から終了までのお話。
安久津家と久野家のトラブルで最初に移住してきた2軒がすぐに去っていく。
鯉の養殖事業を始めようとしていた牧野さんは事業失敗から去っていく。
歴史研究家の久保寺さんは、5歳の立石速人くんの事故から去っていく、立石家も同じく去っていく。
滝山さん、川崎夫妻、上谷さんも秋祭りのトラブルが原因で去っていく。
岩田夫妻と長塚さんもトラブルで去っていく…。
移住してきた住民が些細な行き違いのようなトラブルが原因となり次々と村を去っていく。そんな中、新人で言動がちょっと心配な観山をフォローしつつやる気の全く見られない西野課長のフォローをしつつ孤軍奮闘する万願寺だが本人もなぜ自分がこんな窓際プロジェクトへ飛ばされたのか腑に落ちない…。
一つ一つはよくありそうな話だが、ときどき、なぜか西野課長がまじめに登場するあたりがちょっとこの人何かありそう…と感じさせる何かを最終章で思いっきりネタバレしています。

あとは、異動も思いのまま…と言われた万願寺ですがあれからどうしたのかな…と思います。
豪雪のくだりや円空の話で、米澤氏の出身県がモデルになっているのかな…と推察しましたが、日本の古き良き里山の風景が徐々に朽ちていく様子がよく描かれていると感じました。

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