クロニクル・アラウンド・ザ・クロック  津原泰水

3部作(爛漫たる爛漫・廻旋する夏空・読み解かれるD)を1冊にまとめた作品です。
人気ロックバンド、爛漫のボーカル、ニッチこと新渡戸利夫が薬物中毒で死亡した。自ら薬物を飲んだとみられる。
ニッチの兄、鋭夫は弟の死に疑問を持っている。音楽ライター向田むらさきの娘くれないはニッチのお葬式で兄、鋭夫の話を聞きニッチ死亡の謎解きに乗り出す。


ここから、ネタバレ含む感想

一気に読んでしまいました。最初、文庫本版で3冊だったらしいですが、次が気になっただろうな…というくらい各話の最後で新展開していきます。
絶対音感持っているくれないは、ニッチの部屋に置いてあったギターのチューニングが1本だけ違っていることを見つけた。そこから誰が使ったギターを特定した第1部。
ニッチの最後の曲「雨の日曜日」に女性の声が入っていると噂がたった。爛漫に新メンバーを加え新たにスタートするところだったが、ニッチの容疑者が殺害されたことから状況は一転する第2部。
ニッチ殺害の真犯人を追う、鋭夫とくれないだったがなかなか正体がつかめない。しかし、犯人はすぐ近くにいた。しかし、証拠がない。第3部。
第2部の容疑者殺害の犯人が、真犯人を襲ったことから真犯人の罪が暴かれた…。
ニッチ殺害の犯人捜しを縦軸に、横軸は音楽小説、青春小説の雰囲気をうまく出している。主人公くれないのかえている心の葛藤も犯人捜しの中で徐々に変化していく。第3部では新たな道へ進んでいく。
くれないと鋭夫の恋愛小説とも言いえるのかな…。いろいろな要素の多い作品で視点によっていろいろな物語に変化していきます。

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