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片をつける 越智月子


あらすじ

間もなく40歳になる阿沙は無くなった母の遺産と週2回の読み聞かせで暮らしていた。ある日、隣に住む老婆が鍵を無くしたので助けてほしいと阿沙の部屋の前で座り込んでいた。八重という老婆は、阿沙に自分の部屋を片付けてほしいと頼む。断れなくて引き受けた阿沙だったが…。


ここからネタバレ含む感想

この八重という人物は謎に満ちています。
洋服は高級なものをたくさん持っている八重、そしてなぜかフクロウを飼っていて、部屋の中は汚部屋、口は悪くて、不動産屋さんからも入居時に注意人物として情報をもらっていました。
そんな八重に付き合いながら部屋を片付けていると、不思議なことに自分自身の事にも整理がついてくる阿沙でした。
タイトルの「片を付ける」は片付けるという意味のほかに自分の人生に対して片をつけるの意味でも使われています。複雑な出生をしている阿沙、母親は様々なごみを阿沙に押しつけてくる。そんな生活を脱するために自活しましたがどこか心には硬いガードが付いている。そんな、阿沙の心のガードを壊してくれたのが八重だったのかもしれません。
八重自身も謎が多かったのですが、物語の終盤にかけてその謎が解けていきます。八重自身も複雑な人生を送っていたようで、八重の部屋が汚部屋になったのも八重の心に詰まっていたものがリアルに表現されていたのかもしれません。


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