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桜風堂ものがたり 村山早紀

銀河堂書店に勤務する月原一整は、追いかけていた万引き犯が交通事故に巻き込まれてしまったことから、職場を退職することになってしまった。
一整には、かつて本好きの母がいたが母は亡くなり、それから父と体の弱い姉と三人で暮らしていた。しかし、ある日父と姉が交通事故で死亡し、交流のなかった母方の祖父母に引き取られる。
大学生になったときに祖父母から独立し、以後一人で生きてきた。

人生のなかでちょっとしたすれ違い、普通ならそれから挽回の機会もありそうな本当に些細なすれ違いが生じてしまったことが原因で何事も悪い方向へ転がっていき後から後悔しても後悔しきれない…そんな、だれでも一度くらい経験したことがありそうな、本当に些細なことの重なりで自分の居場所がなくなってしまった。
しかし、ここから物語は動き出す。職場を去る際に一整はこれから発売される1冊の本を託していった。その本は、誰もを引き付けるような話で一整の残していったものとして書店一丸となって盛り上げようと考える。そして、それが次々と伝播していき大きな力になる…。と、負の連鎖がいつの間にか正の連鎖となっていくそんな鮮やかな変化が起こっていく。
最後は、孤独な一人の青年は自分の居場所を見つけ、自分は一人ではないということに気が付いて、自分が救世主となり一人の少年が明るく笑うようになりきっと一整も初めて救われたのではないかと思った…そんなお話でした。

悲しいだけではなくて、一人でゆっくり、じっくり泣きたい。でも、あとは前向きになりたい人向けのお話でした。

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