麦の海に沈む果実 恩田陸

十四歳の理瀬は、全寮制の学校へ入るために一人鉄道に乗り2月の最後の日に学校へ編入する。この学校は、通常は3月に入学・編入するという決まりがあり、2月入学は不吉とされているということを理瀬は入学後知ることになる。
寮は、二人部屋だった。理瀬は自ら立候補してきた憂理と同室になる。憂理から学校の説明を聞いた理瀬は、理瀬が入学する前に麗子と功の二人の生徒が行方不明になっていることを知る。
(注)先に「三月は深き紅の淵を」を読むほうがよい。

ここからネタバレ含む感想

あまり乗り気でなく学校へ入れられた理瀬は周りを怖がりながらも徐々に学校生活に馴染んでいく。校長先生のお茶会に呼ばれあ理瀬だったがその席で麗子がすでに死亡していると主張する黎二と憂理に対して、校長先生は交霊会を行うことを提案する。窓を開けると理瀬には行方不明の功の霊が乗り移ったように話し始める。そのお茶会の直後に校長の家の前で、黎二に絡んでいた修司が刺殺体で発見される。
控えめに、目立たないようにしている理瀬だったが、なぜか校長先生に気に入られているために校長先生の親衛隊を中心にいろいろな嫌がらせを受けるようになる。
どことなくつかみどころのない理瀬だが、なんとなく…、ちょっとした出来事が悪いほうへ転ぶ引き金になっているような感じで物語が進む。そんな中殺人事件も絡んでくる。
推理ものとは少し違うような気がするが、カテゴリー的にはミステリーに入るのかな…と思う。ただ、最後の章でいろいろな大どんでん返しというか、最大のネタバレ(とも違う気がするが…)があるのでそこから周りの人たちの言動を振り返ってみるとうーん、となってしまう…。
少し時間を空けて、もう一度読み返すと景色の違う話になるかもしれない。

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