ルリユール　村山早紀

あらすじ

小学生の瑠璃は、一人で早風に住む祖母の元へ向かった。叔母の一周忌に出席するためで、父と母と姉は仕事やアルバイトがあるため数日遅れて合流する予定だ。しかし、祖母の営む食堂に着くと祖母が階段から落ちて病院に入院したと知らされる。父や母が来るまで一人で過ごすことになった瑠璃は、本の修復をしているという不思議な女性に出会う。

ネタバレ含む感想

早風シリーズの一作です。今回出てくるのは、本の修復師「ルリユール」と出会った瑠璃が様々な本を持ち込み修復を願う人々の思いを知り、自ら心の奥に潜めていた思いを表に浮き上がらせるお話になっています。
人は、一つや二つ、自分の言動が引き金になり取り返しの使いないような事態を引き起こしてしまうことがあります。それが、心の中の重りになり普段はそれに気が付かないように生活していますがふとしたきっかけから自分を責めるようになることがあります。
ここに出てくる本の修復を頼んだ人たちは、心の底にそんな傷があり、修復された本がきっかけになってそのことから解放されていくお話です。
ファンタジー作品かなと思いますが、風早シリーズは不思議なことがたくさん起こるのでこのくらいは日常なのかもしれません。
瑠璃が弟子入りして、大人になるとどうなるのかも気になります。