魔女たちは眠りを守る　村山早紀

あらすじ

七竈七瀬は魔女。人間より長い寿命を持ち一つの街に定住せずに世界中を旅しながら暮らしている。七瀬は久しぶりに港のある街に戻ってきた。そこで、かつて同じ高校で過ごした叶絵と再会する。

ここからネタバレ含む感想

七瀬は人間よりゆっくり歳をとる。だから、人間と一緒に暮らし続けると七瀬だけが若いまま周りが年老いていく。それを悟られないために世界中転々としながら暮らしている。そんな七瀬が、昔少しだけ一緒に過ごした叶絵の住む町に戻ってきたが高校生の頃と変わらぬ七瀬とそれから年を重ねた叶絵それでも二人は再会し、闇へ引きずられそうな叶絵を助ける。
魔女の暮らしはなんだかひとりぼっちで寂しさが漂っている。それでも、七瀬をはじめとする魔女たちは人間の近くに住み、時に人間を助ける行動をする。そんな魔女の宿命のような生き方をしながら、多くの大事な人たちを見送りながらも時々会う、同じ魔女同士のつながりも大切にしつつ暮らしている魔女たちのお話でした。
若々しく長生き出来て、不思議な力まで持っているということを最初は良いことかと思いたいけれど、それでも一人で生きていく（一緒に暮らす猫はいるとはいえ）のは少し寂しいような気がしました。ちょうど子どものおとぎ話を大人向けにシリアスに描いたお話です。子ども向けのように魔女ってすごいだけでなく、一人で旅している魔女の心の内もよく描かれていました。