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教室に並んだ背表紙 相沢沙呼

あらすじ

図書室を中心に展開される。少し目立たない中学生の物語。
図書委員のあおいは中学2年生、今年も仲の良いことは同じクラスになれず、図書室で過ごす時間が安らぎの時間だった。そんな図書室の時間の中に去年同じクラスだった三崎さんが訪れた。去年のクラスで三崎さんに言われたことが原因でクラスに馴染めなかった記憶がよみがえる。


ここからネタバレ含む感想

地味でおとなしくて、人見知りが集う図書室、その図書室で過ごす時間を大切にしている少女たちの短編6話。そんな少女たちに明るく優しく寄り添ってくれる司書のしおり先生のお話でした。
キラキラしたいかにも主役ではなくて、教室の片隅でいつも本を読んでいるような人が物語の中心となります。みんなキラキラした人たちを横目で見ながらそのグループからは距離を取り、友達のそれほど多くなく、学校の中で落ち着ける場所は図書室という設定でした。
登場する中学生は6人なのですが、この6人の人間関係が微妙にクロスしていて、それぞれ考えていることと、それぞれが周りから見られている状況に少しあるズレがよく描けていると思います。多感な時期なので自分に自信が無くて、キラキラしている子が少しまぶしくてでも、自分はその輪の中に入りたいわけではないけれど少しうらやましいというような感情が文章の中から痛いほど感じられました。
時間軸も少しいじってあるのでそのあたりを気にしながら読むのも面白いかなと思います。この辺りの仕掛けは相沢さんらしいなぁと思いました。
中学生が読んだら共感するのか、こんなの違う!というのか感想を聞いてみたいお話でした。

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