読書と人生。
読書好きが10年以上読書から離れた時期があった。子育て時代である。23歳で結婚して、妊娠して、出産して、気づけば10年ちょっと。5人の子持ちだ。下の子も小学校へ上がり自分の時間ができた。自然と読書好きが読書を再開する。長い沈黙を経て。
私は読書は好きだが、物語は書けない。
物語を書くには経験が少なすぎるのだ。社会に出たのは結婚するまでの3年間だけである。よくあるゲームを例えに出すと、私のステータス、いわゆるステ振りは「子育て」に多くを振られた。決して子育てを軽視しているわけではない。「時間」や「趣味」に振るステータスを少し削って、その分を「子育て」に振る代わりに「経験」というものが圧倒的に最弱のステ振りになったのだ。ここでいう経験というのは社会性。社会人としての時間が少なかった分、経験としての知識や常識が皆無である。
物語の主人公を考える時にまずそこで躓く。
何気ない主婦の日常なんて、ただの日記に収まってしまう。だから私は「薄っぺら」だと言うのだ。ただ、完璧ではないにしろ「子育て」に関しては負ける気はしない。そこだけは自信が持てる部分でもある。
そんな私が子供に伝えられる事は
「たくさん本を読みなさい。本はたくさんの経験をさせてくれるから」
これは私自身にも言える事である。主人公の日常は自分にはない「経験」をさせてくれる。私で言う、知識としての経験。それでも知るのと知らないとでは大きな差があって、薄っぺらな日常に少しずつ厚みを持たせてくれる。
だから読書はやめられない。
ただ、やはり経験としての知識には劣るのは確かだ。この先、どのくらいの経験を積めるのかはわからないが、ここは一つ子供たちと一緒に私もまた厚みのある人生を送って行けたらと、そう思っている。まだまだ発展途上なのだ。