あに×いも 1話

❢アテンションプリーズ❢

R-15くらいの兄と妹の恋愛物になります。
苦手な方、年齢未満の方は閲覧しないようにしてください。











優衣「うげ…」

学校から帰宅途中
しかめっつらになった視線の先には私の兄…

遼太「お、優衣ー。奇遇だな!
   うげ、とはなんだよ」

兄彼女「あー、この子でしょ、話してた妹って〜」

と、兄の(何代目かの)彼女。

短めの明るすぎない髪にふわっとしたパーマ
がさつな私とは正反対の女性らしい人。

遼太「そうそう、かわいいでしょー」

兄彼女「うん、かわいい。
    初めまして、妹ちゃん。よろしくね?」

優衣「…よろしく…」

正直よろしくはしたくない…
だってお兄ちゃんは私のだもん…

大好きなお兄ちゃんの隣に並びたいのに…
“妹”としてじゃなくて“一人の女性”として

遼太「なぁ、優衣」

優衣「あ!今日買い物あったんだった!」

お兄ちゃんの声を少し大きな声を出して遮る

遼太「ちょ、ゆ」

優衣「じゃあね、お兄ちゃん、彼女さん!」

走ってその場から逃げ出す
少し不自然だったかもしれない
だけどあれ以上一緒に居たくなかった

…見たくなかった




適当に走りすぎてスーパーからも家からも通り過ぎて、気付いたら小さい公園の前で息を切らして膝に手をついていた

優衣「…バカみたい…」

「なにが?」

優衣「!?」

独り言に返ってきた声に驚いて振り返る

遼太「ん?」

きょとん、とした顔でこちらを見ている兄
かっこいい顔して…ムカつく。

優衣「なんでここにいるの…」

遼太「なんでって…さっきお前の様子変だったし」

優衣「そうじゃないっ、なんで当たり前みたいに私の居場所
   わかるの」

遼太「いつ何があるかわからないから、
   お前の居場所わかるようにGPS傍受してるの」

優衣「勝手に何やってんの…。それに…彼女、は?」

私のバカ。
声に出したくなさすぎて声詰まった…。

遼太「お前が心配だったからあのあとすぐ別れたよ」

優衣「それは悪い事しましたねぇー」

かわいくない。
本当はすごい嬉しくて優越感に浸ってるのに
かわいさのかけらもない。
妹なんかじゃなくても彼女になんてなれないよ…。

遼太「何言ってんの。
   俺は自他共に認める妹第一なおにーちゃんだよ」

優衣「バカじゃないの…そんなんだから振られるんだよ」

嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい
でも
“妹”だから
苦しい…

遼太「大事な可愛い可愛い妹一番だって理由で振られるなら
   本望だね」

優衣「バカにぃ」

でも“妹”の特権でもある
お兄ちゃんの隣はこの特権を振りかざして誰にも譲らないんだから

遼太「バカにぃってなんだよ、いつもみたいに可愛く遼にぃ♡
   って呼んでみ?」

優衣「♡なんか付けたことありませーん!」

なんだかんだ、毎日こうやって仲良く過ごしていくんだろうなって
思ってた。


1話 END







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