かんたんだ

意外とあっさり終わったな
スマホの画面を閉じた男はゆっくりと
タバコに火を付けた。
流れる紫煙のゆらめきをしばらく眺めながら
終った女のアドレスを『済8』と変更する。

男にとって終った女は用済みだ。
時々終った女の何人かから
電話が来るが、アドレスには『済』表示が
出るので電話を取ることはない。
単身赴任も数年すれば家族が様子を見に来る事もない、仕事の合間に息抜きも必要だ。そう嘯く男にとってLINEは誤爆が命取り、メルアドは娘の名前、連絡手段は電話だけと厳守している。
男と女は簡単なことだ。

しかし変わった女だったな。
だから続いたのか…呟く男の瞼の裏には
もう次の女が映っていた。

『オレのことは忘れてください。
体に気をつけて。幸せに』
ナニコレ？女はスマホの画面を見ながら呟いた。
潮時かなとは思っていたけど、これが最後かと思うと悲しいはずが込み上げる可笑しさを抑えられなかった。
『わかりました』とだけ返信して
さてどうしよう…とりあえずヨリコはヒマかしら。親友に電話を掛け女は颯爽と夜の街へと出掛けた。

ヨリコと飲むのは楽しい。
ナニソレツマンナイオトコ
きっとヨリコはそう言うだろう
きっと。
そう思っていたら予想だにしなかった
一言が返ってきた。

そんな適当な奴、許していいわけ？
アレは相当遊んでるのは知ってるけど
親友のあんたを弄んだなんてアタシ許せないんだけど！
ハイボールを叩きつけるようにヨリコは小さく押し殺した様な声で叫んだ。
いいのよ、ナニがあったわけでなし。
だから～そんなだから男はアンタに甘えるの！信じらんない！
普段クールなヨリコがここまで怒るなんて
わたしも信じらんないよと思いながら
ふと思い出したことがあった。
まさか…ヨリコ？

簡単には終わらせないよ。
ヨリコはそう言うと、今日は帰ろうと
切り出した。
半ば引っ張り出されたわたしの目に
満月が写る…
そうね、簡単に終わらせないわ。
タクシーから満月を見ながらふつふつと
怒りが湧いてきた。

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リンク、何度貼ってもエラーになるので
後程別投稿で。
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どんな崖から何人船越英二が出てくるのか楽しみです😃