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Metaの2023年第4四半期脅威レポート スパイウェア、中国、ミャンマー、ウクライナ

Metaの2023年第4四半期脅威レポートが2024年2月14日に公開されていた。
FOURTH QUARTER
Adversarial Threat Report: Countering the Surveillance-for-Hire Industry & Influence Operations
https://transparency.fb.com/ja-jp/metasecurity/threat-reporting/


このnoteではMetaの四半期ごとの脅威レポートはできるだけ紹介するようにしている。Metaのテイクダウンの内容から全体の動向を推測することができるし、最近では他のプラットフォームまで調査していることが多い。また、分析も参考になる。今回はイタリア、スペイン、UAEのスパイウェア産業分析の特集つきだ。なぜMetaがスパイウェアの分析をするの? と思うかもしれないが、実はスパイウェア企業は監視産業でもあり、SNS上の活動も対象にしていることが多いのだ。
中心となっているMetaのBen Nimmo氏とはXで相互になっているので、彼のツイートで気づくのだが、今回はツイートしていなかったため気づくのが遅れた。もうXには愛想をつかしたのだろう。

●テイクダウン

・中国

Facebookアカウント33個、ページ6個、グループ6個、Instagramアカウント4個をテイクダウン。アメリカ軍の家族や反戦活動家になりすまして、ニュースや解説および台湾やイスラエルに対する米国の外 交政策、ウクライナ支援への批判を投稿していた。YouTube、Mediumや請願プラットフォーム rootsaction.org
でも活動していた。一部、2022年9月にテイクダウンしたネットワークとの関係も見つかった。

・ミャンマー

Facebookアカウント381個、ページ88個、グループ19個をテイクダウン。ミャンマーの国内をターゲットに、少数民族を装い、ミャンマー軍を支持し、対抗する民族組織や少数民族を批判していた。これらの活動とミャンマー軍の人物とのつながりが発見された。

・ウクライナ

1,020のFacebookアカウン ト、5つのページ、2つのグループ、711のInstagramアカウントをテイクダウン。また、フェイスブックで約3万ドルの広告を出稿していた。ほとんどが米ドルで支払われた。
ウクライナとカザフスタンの利用者をターゲットにしており、主にウクライナとカザフスタンの政治についてロシア語で投稿した。
ウクライナの政治家Viktor Razvadovskyiを支持する投稿し、Radio Azattyqなどのニュースメディアに投稿して現政権を支持していた。

●ウクライナに対するロシアのデジタル影響工作

今回のレポートにはウクライナに対するロシアのデジタル影響工作を振り返ったまとめがある。コンパクトにまとめられており、概観するのによい感じ。ロシアのデジタル影響工作への対策が進むにつれて、その投稿量とエンゲージメントは現象しており、対策の効果としている。
CIBが効果をあげるのは、政治家、ジャーナリス ト、インフルエンサーといった実在の人物を利用して、そのオーディエンスを利用することに成功した場合という指摘は、ロシアが最近アメリカのセレブをプロパガンダに利用した事件( https://note.com/ichi_twnovel/n/nec837ad77796 )を彷彿させる。
国際世論のアジェンダ・セッティングにも通じる。

最近の中国は米国内の党派対立を利用し、ロシアは西側諸国の特定の問題に関してウクライナを支持していない側の発言を行う傾向があると指摘している。

●スパイウェア

イタリア、スペイン、UAEのスパイウェア企業の概観は下表。8社が対象となってる。表はあくまでMetaのレポートに書かれている内容を整理したもので記載されていないものはブランクにしています。各社のサイトを見ると想像以上に業務が広いのと、スパイウェアとは言わないうまい言い回しに感心します。

スパイウェアとして監視やデータ窃取を行うだけでなく、Facebook、 Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、Skype、GitHub、Reddit、Google、LinkedIn、Quora、 Tumblr、VK、Flickr、TikTok、SnapChat、Gettr、Viber、Twitch、Telegramをターゲットとして、スクレイピング、ソーシャルエンジニアリング、フィッシングなどを行っていた。
また、総合的な監視サービスを提供するのと、特定されることを回避するため、異なる企業の製品の併用が可能となっている。

好評発売中!
ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。

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Metaの四半期脅威レポート、プリンストン大学の情報戦統計は他ではあまりないかも。Metaは四半期毎なので数も多いです。 どちらも元は無償公開されているのでそちらを読んだ方がよいのは確かです。

Metaの四半期脅威レポート、プリンストン大学の情報戦統計、民主主義指数、V-Demなど定期的な資料の紹介記事。ご自分で記事を遡れば無料で…

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