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中国のCVERCがVolt Typhoonはアメリカの言いがかりという報告書を公開し、ナラティブを流布

中国のCVERC(国家计算机病毒应急处理中心)はサイバー攻撃などについてのナラティブを担当するデジタル影響工作部隊であり、以前から欧米のサイバー攻撃に関する主張を覆すような報告書を公開していた。

中国影響工作における国家计算机病毒应急处理中心(CVERC)の役割
https://note.com/ichi_twnovel/n/na8d18436ddc9

今回はVolt Typhoonが中国由来であることを否定するレポート「Volt Typhoon: A Conspiratorial Swindling Campaign targets with U.S. Congress and Taxpayers conducted by U.S. Intelligence Community」を公開した。
レポートでは、Volt Typhoonが中国由来ではないことを否定し、マイクロソフト社やファイブアイズの主張はアメリカの政治、諜報機関、企業が結託したキャンペーンであるとしている。このキャンペーンに参加したマイクロソフト社やルーメン・テクノロジー社はアメリカ国防総省から多額の報酬を得ているという。
Volt Typhoonの正体は過去にThreatMonがレポートしたDark Powerであるとしている。

CVERCの発表以降、中国政府関係者や中国メディアを中心としてキャンペーンが展開されている。下記はその例。

GT exclusive: Volt Typhoon false narrative a collusion among US politicians, intelligence community and companies to cheat funding, defame China: report
https://www.globaltimes.cn/page/202404/1310584.shtml

Spokesperson发言人办公室
https://twitter.com/MFA_China/status/1779807496343072860

また、日本国内で中国のプロパガンダメディアのニュースを配信しているAFPBBもCGTNのニュースとして下記を配信している。

米による「中国のサイバー攻撃の脅威」非難は詐欺 中国
https://www.afpbb.com/articles/-/3515191

中国の主張はいわゆるグローバルノースでは受け入れられにくいが、それら以外の国では受け入れられやすい傾向がある。それら以外の国は人口と国数で世界の多数派となっている。
一帯一路加盟の国々ではネットやシステムを中国に依存していることがよくあるためである。

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