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鈴木エイト『自民党の統一教会汚染』拝読。

『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(鈴木エイト、2022年9月26日、小学館)を読んだ。鈴木エイトの統一教会取材の記録である。

●本書の内容

本書は体系的に情報を整理したというよりは、統一教会による日本の政界の汚染状況、経緯などが取材記録を通じて明らかになってゆく過程を記録したものである。
なので人物相関図や組織図のようなものはなく、鈴木エイト氏の追跡をリアルタイムで追体験するような感じ
になっている。
すでにさまざまなメディアで報道されているので、自民党および野党の一部が統一教会に汚染されていたことなどをご存じの方は多いと思う。同様に統一教会が日本の信者から吸い上げた資金、毎年300億円を送金しており、最盛時には1千億円に達していたこともよく知られているだろう。
・政治家との関わり。特に安倍政権以降の歴代政権との関わり
・資金の流れ
・北朝鮮との関係
・日本人への怨讐と、贖罪意識の刷り込み
・メディアの自主的な報道抑制
・アメリカの政治家、特に共和党との関わり
・統一教会が国家を支配する「国家復帰」の推進

などなどが取材の過程とともにわかってくる。
本書に書かれているように著者の鈴木エイトをのぞいて、誰も継続的に統一教会と政治の関わりを取材、調査しておらず、暗殺事件のあとも統一教会の問題について理解できていなかった。
元総理が統一教会のイベントに出演していたことがわかっても、ほとんどのメディアが報じなかったことからもわかる。
それぞれの項目について、細かく紹介することもできるが、むしろぜひ読んでいただきたいので詳細には立ち入らない。
このnoteで、影響工作とは「見えない」まま相手を包囲することが重要と何度か書いたが、これはまさに日本社会が「見えない」まま包囲されようとしていた、まだ終わっていないドキュメントである。

●感想

とにかく読んでください、の一言につきるが、読む進むうちに「孤軍奮闘」という言葉が頭に何度も浮かんできた。幸いに現在、鈴木エイトは時の人になっているが、基本的に日本は権力のもたらす脅威に孤軍奮闘する人に冷淡だ。
日本では国内の偉人といった時に、政治家や科学者、あるいは歴史上の人物などが浮かんで来る。私の住んでいるカナダでは、自分やコミュニティの名誉と尊厳を守るために孤軍奮闘した人(政治家でも科学者でも歴史上の人物でもない)がもっとも有名な偉人になっている。
本書に書かれている内容の中には、不足している情報や後から誤っていたことがわかるものもあるかもしれない。しかし、3000日にわたって取材、調査した結果のほとんどはその通りだろう。
孤軍奮闘している人を、孤軍にさせてはならないのだと思いながら読んでいただけるとありがたい。

余談だが、個人的に日本を憎み、支配しようとする統一教会が日本の保守と組めたのか気になっていたが、それも本書でよくわかった。要するに二枚舌で日本ではそのあたりを押さえていた。そのために矛盾も生じて内部でも問題になっていたらしい。














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