見出し画像

内戦が起きた場合、決着まで平均10年以上かかる

Barbara F. Walterの『How Civil Wars Start_ And How to Stop Them』(Crown、2022年1月11日)の紹介の続編で、著者がかつてかかわったCIAのタスクフォースによる内戦分析の資料が、2012年にリニューアルされ、国土安全保障省のサイトで公開されていた。以前の記事はこちら
「Guide to the Analysis of Insurgency 2012」(CIA、https://www.hsdl.org/?abstract&did=713599)に書かれている内戦のライフサイクルを簡単な表にしてみた。

いったん始まると、反乱集団の勝利に平均10年、政府の勝利に平均12年、交渉で8年と想像以上の時間がかかり、その間内戦状態が続くというのはえらいことである。
『How Civil Wars Start_ And How to Stop Them』によると、アメリカは初期対立ステージに達しており、かなりはっきりした反乱ステージに近づいている。2021年連邦議事堂襲撃事件はその兆しだ。
アメリカが次の段階に移った場合、10年くらいは内戦状態が継続し、国際的なアメリカの影響力はかなり削がれる可能性が高い。
それ以上に危険なのは、世界全体に暴力が広がることである。『How Civil Wars Start_ And How to Stop Them』の著者は今後世界各地で内戦が増加する可能性を指摘している。
このnoteで何度も書いているように、民主主義から権威主義に移行する国が増えており、それらの国はアノクラシーになることが多い。アノクラシーと党派主義は内戦勃発の条件なのだ。
そしてもうひとつ著者が指摘していたのは、温暖化の影響による移民や難民の増加である。これが内戦の要因につながりやすい。
世界は暴力の時代に突入しようとしているのかもしれない。


好評発売中!
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)

明治大学のウェビナーに登壇します!

我が国で高まるサイバー脅威「インフルエンスオペレーション」
詳細はこちら https://www.cslab.tokyo/pdf/poster_20220920v4.pdf




本noteではサポートを受け付けております。よろしくお願いいたします。