見出し画像

SNSの利用者とジャーナリストはきわめて党派的な議論でプラットフォームを問題視していた、という論文

How do social media users and journalists express concerns about social media misinformation? A computational analysis
https://doi.org/10.37016/mr-2020-147

SNSの利用者とジャーナリストが誤・偽情報を論じる際、SNSプラットフォームのポリシーをよく話題にする。しかし、その議論がきわめて党派性のあるものだったということを、この論文は検証していた。

SNS上の誤・偽情報は、量的には平均的なアメリカ人の情報摂取量のわずかな割合を占めるに過ぎないが、誤・偽情報の拡散を煽るSNSプラットフォームの力についての懸念と議論は高まり続けている。SNSの利用者もSNSプラットフォーム上で誤・偽情報が広がることについて頻繁に懸念を表明している。
誤・偽情報は主流のメディアでよく取り上げられるテーマとなっている。主流メディアは誤・偽情報のゲートキーパーおよび訂正者であるだけでなく、誤情報に関する報道を日常的に行っており、多くが「misinformation beat」(誤・偽情報を報道することで誤・偽情報をより拡散すること)を起こしている
この論文では 教師あり機械学習を使用して、SNSの誤・偽情報を議論する米国の主要放送ニュースついてX(当時はツイッター)、フェイスブックに投稿されたテキストを分類した。対象にした誤・偽情報に取り組む際の5種類の議論は下記。
・政党政治
・知識と決定の質
・直接的な訂正
・ユーザーの主体性
・プラットフォームポリシー

その結果、ジャーナリストとSNS利用者の間では、プラットフォームポリシーと政党政治が主なテーマとなっていることがわかった。
プラットフォームポリシーと政党政治に関する議論は、すべての議論の中で最も同時に起こる確率が高く、誤・偽情報に対するプラットフォーム介入という発想がかなり党派的であることを示唆している。
利用者の主体性に関する議論は、ジャーナリストはあまりとりあげず、Xやフェイスブックで多くわれており、誤・偽情報の修正に関する議論 と同時に頻繁に発生していた。

How do social media users and journalists express concerns about social media misinformation? A computational analysis、https://doi.org/10.37016/mr-2020-147
How do social media users and journalists express concerns about social media misinformation? A computational analysis、https://doi.org/10.37016/mr-2020-147
How do social media users and journalists express concerns about social media misinformation? A computational analysis、https://doi.org/10.37016/mr-2020-147


論文はジャーナリストに対し、誤情報の軽減を目的としたプラットフォームのポリシーに関する政治的な枠組みから離れ、代わりに正確性に焦点 を当てるよう求め、プラットフォームと教育者がSNS利用者に誤・偽情報に対処するための活動の自由を与えることを推奨している。

好評発売中!
『ネット世論操作とデジタル影響工作:「見えざる手」を可視化する』(原書房)
『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。

いいなと思ったら応援しよう!

一田和樹のメモ帳
本noteではサポートを受け付けております。よろしくお願いいたします。