メモ レピュテーション・マネジメント企業が増加しているらしい


●レピュテーション・マネジメント企業の台頭

レピュテーション・マネジメント企業が増加しているようだ。レピュテーション・マネジメントとは広義の情報戦、認知戦、デジタル影響工作の対策であり、通常の対策は主として国家安全保障の文脈に属するが、彼らは企業や個人も顧客とし、そのレピュテーションを守るための活動を行う。
以前、紹介したイスラエルのTeam Jorge(https://note.com/ichi_twnovel/n/n466b4650c1ff)なども含まれる。他には、スペインのEliminalia、イスラエルのActiveFence、フランスのSahar、アメリカのPrimer Technologiesなどが存在する。
さらにスパイウェア企業を含むこともある。

調査報道のコンソーシアムForbidden Storiesの「Story Killers」ではTeam JorgeとEliminaliaの実態を暴露している。彼らの活動の特徴は下記である。くわしくはTeam Jorgeの記事を参照(https://note.com/ichi_twnovel/n/n466b4650c1ff)。

・国家、企業、個人からの依頼を受ける。

警備会社や弁護士が犯罪で告発されている企業や個人の依頼を引き受けるように、レピュテーション・マネジメント企業は犯罪で社会的に批判されている企業や個人の依頼も受ける

・カウンターの作戦であり、限りなく攻撃側に近い活動を行う

ファクトチェックや通常のネットPR活動は彼らの活動の一部であり、ハッキング、脅迫資料の偽造、偽情報の拡散、偽情報の植え付け、物理的な選挙妨害、標的を絞ったソーシャルメディア・キャンペーンの展開などが作戦には含まれる。レピュテーションに脅威を与える相手のアカウントをハッキングして情報を盗み出すことも行う。

・違法性の疑いのある活動も含まれている。

前項に書いたように違法性の疑いのある活動も含まれている。

・彼らの活動はほとんど不可視である。

MetaはTeam Jorge関連のアカウントをテイクダウンしたが、Team Jorgeについては言及していない。Story Killersのメンバーメディアにはワシントンポストなど大手メディアも含まれるが、報道が始まっても他のメディアはあまり取り上げない。
活動はあまり表に出ることはなく、静かに広がっている。

・日本政府も依頼している。

日本では2020年のオリンピック前後に関係がレピュテーション・マネジメント企業との始まり、原発処理水で海外からの干渉があった際にも依頼をしているという報道がある。
以前、紹介したように日本は国際的なサイバー軍需企業Micro Systemation AB社とも大口の取り引きしている。ちなみに同社はアメリカやNATOの敵対国に製品を販売してるサイバー版死の商人だ。

●おまけ スペインのEliminalia

まだ、ご紹介していないスペインのEliminaliaについて簡単に触れておく。

・企業、著名人、容疑者や有罪判決を受けた犯罪者など、6年間で1500件近い顧客の依頼を受けた。3分の2は個人で、残りは企業。親会社はMaidan Holding。

・600以上の偽ニュースサイトを運営して、顧客に有利になるような情報を発信していた。

これらのサイトには、大手メディア組織からコピーしたニュースが掲載されており、『CNNEWSトゥデイ』、『ル・モンド・フランス』など、本物の報道機関に似た名前をつけていた。

・数千の著作権に関する偽の苦情をサーチエンジンやウェブサイトに送りつけ、

検索結果やウェブサイトの記事から顧客に不利になる情報を取り下げさせた。

・大学などの公的サイトの脆弱性を利用し、同社の偽ニュースサイトがサーチエンジンで優先的に表示させるようにしていた。


時間ができたらレピュテーション・マネジメント企業について、もう少し包括的な整理をしてみます。

出典など

20カ国33の選挙に介入していたイスラエルのTeam Jorge
Story Killers(https://forbiddenstories.org/case/story-killers/?itid=lk_inline_enhanced-template)
兵器見本市出展企業分析からあぶり出された危険なサイバー軍需企業224社 日本の当局も大規模取引
諸般の事情で一部の出典を開示していません。

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『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)
『フェイクニュース 戦略的戦争兵器』(角川新書)
『犯罪「事前」捜査』(角川新書)<政府機関が利用する民間企業製のスパイウェアについて解説。

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