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フィンランド演奏旅③

これまた湖畔の美しい会場。ホテルからは5分ほど歩く。皆んなのフランクな会話に食らいつく。南アフリカのクリスはマッシュルームを森で採るのが趣味だそうだ。(実際翌日バカでかいマッシュルームを採ってシェフに調理してもらっていた)


白に統一された美しい会場

今まで使った事のない脳みそをフル回転させながら皆んなの話と演奏する曲目を聞く。
そう、僕は今回このパーティーの中での目玉であるバンドLIVEを取り仕切らなければいけないのだ。これが今旅のミッションである。

今回の旅の1番の目的。

ただ演奏するならまだしも、曲の長さや楽器の入り方などをアレンジしなければならない。

過去にも日本人以外と音楽をする機会はあったが、皆んな日本語が話せたので今回とは随分と勝手が違った。

この日は合流出来なかったがプロベーシストのミッコと僕を除けば普段からプロ活動しているメンバーは少ない。しかしながら、ブルースセッションをすると皆んな上手い。ピッキングも鋭くツブだった音を出すなあと感じた。

シンプルに伝えるって大切!!

英語力が僕は低いのでストレートな物言いで皆んなとリハーサルを進めた。
日本語だと気を遣いながら話すシーンが増えるが、英語で話すとシンプルでラクだった。

そんな事を感じながらリハーサルはスタートした。初めは探り探りだった音楽は世界共通語。コードも書き方は同じだし、コーラスパートも皆んな自在に入ってくる。

居心地がいい

無事にリハーサルも終えて、胸を撫で下ろした。
後は本番を迎えればパフォーマンスするだけ。

皆んなが片付けをする中、ふと間が空いたので1人で湖畔を見ながら思いつくメロディーを弾いた。

ぼーっと弾いていただけなのに、イタリア人のカメラマンとカザフスタンのアシスタントの方がずっと僕を撮っていたみたいで、「なんて美しいの」と言ってくれた。素直に嬉しかった。
すると、バンドメンバーも聴いてくれていて皆んなが僕の周りに集まった。

「イチのピアノは美しいな」

正直驚いたし、めちゃくちゃ嬉しかった!!

僕はピアニストなんて、とてもじゃないけど言えないと思っていたが、これからは自分のピアノ曲も作りたいと思った。

それからはホテルで少し休むと夜はパーティーがあるとの事で会場へ向かった。

クリスとズヴィンカ

映画のような世界。
ホテルの美しさも相まって、皆んなを横長い長方形の四角におさめていた。
僕だけ観客になっていた。

シャンパンを何杯か飲んでからは知らないうちに皆んなの輪っかに入っていった。
何だか言葉が急に分かる気がする。

演奏するメンバーたちと好きな音楽について聴かせあったりもした。
サーカスフォーカスのLife Goes Onを聴かせるとすごく喜んでくれた。エンディングまで丁寧に聴いてくれた。

サーカスフォーカス、まさかの南アフリカでチャートイン!!

実は南アフリカで「サーカスフォーカス」の「Hello to you」が急にチャートインしたのはこの数日後の話。

皆んなの中では知らない間にすごいピアニストなんだと紹介されて、イイのかなあと思いながらも嬉しかった。

「イチ」レストランへ行こうと南アフリカのクリス、ウクライナのズヴィンカ、イギリスのクリスとディナーへ行った。

アジアンは僕しかいなくて心地よかったなあ。
皆んな優しかった。ワインが本当に美味しかった。

そう言えば、南アフリカのクリスが「イチ、今の日本と中国の関係についてはどう思う?」と聞かれた。
僕は意見がはっきりとは持てていなかった。
この旅で1番悔しかったのは実はこの瞬間である。

自分の国の事を深く知ろうとしてこなかった自分を恥ずかしいと思った。
この経験は僕にとってこれからプラスに働くと思う。

さて、いよいよ明日は本番だ!!



神戸在住 音楽家 ichiです。普段はサーカスフォーカスと言う音楽グループの1人です。ライブ空間ごと持ち回る音楽サーカスショーを繰り広げていくために目指して日々奮闘中!