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須藤宰「町工場だから儲かる!クラウドファンディング必勝法」

・本書は、創業1721(享保6)年から300年続く傘メーカーの10代目となった著者が、クラウドファンディングに出会い、1本1万円のビニール傘で1000万円集めた秘術について紹介した1冊。

・著者が経営するホワイトローズは1958年(昭和33年に世界初のビニール傘を開発・販売した、国内で唯一のビニール傘の生産を行うメーカーで、選挙活動で多くの政治家が使用したり、園遊会で美智子皇后陛下(当時)がお選びになられた御傘で広く知られている。

・クラウドファンディング=主にインターネットを利用し、自分のアイデアや作品をプロジェクト化することで、不特定多数の人々から資金調達ができる仕組みをいう。基本的には、プロジェクトを応援してほしい側(主催者、実行者)、応援する側(応援者、支援者、サポーター)、どちらもメリットがある。

・クラウドファンディングの主催者は、応援者が支援金(応援資金)を出したくなるような商品やサービスを提案し、アピール方法を模索して支援金を集めるための努力をしなくてはいけない。その分、プロジェクトが成功すれば、目標金額を大きく上回る多額の支援金を集めることも可能になる。著者が経営するホワイトローズも、2015年におこなった折りたたみビニール傘「アメマチ」開発のクラウドファンディングで、もとの目標金額50万円に対し、460万円以上の支援が集まり、大成功を収めた。

・クラウドファンディングは「寄付型」と呼ばれる、リターン(返礼品)なしの応援方法を除けば、基本的に応援者側は、商品やサービスといった形で返礼品を受け取ることができる。つまり、クラウドファンディングは主催者、応援者ともにWIN-WINの関係を築くことができるお金の集め方なのである。
※クラウドファンディングをする際にやっておくべきことについての詳細は本書をご覧ください。

・クラウドファンディングで大切なのは返礼品である。ホワイトローズのように新商品の傘を定価より割安で手に入れたり、形のないサービス(ピザ店の限定の特別割引コース・ひと足早くダイジェスト版を鑑賞できるオンライン試写コースなど)もある。この返礼品をきちんと送ることは当たり前として、
□開催していた返礼品の内容と、実際の返礼品に違いはないか
□期限内にきちんと返礼品を送ることができるか
を絶対に守ることは大事なので、運営会社は口酸っぱく主催者に事細かに質問をする。

・超低リスクで挑戦できるのが、クラウドファンディングの魅力のひとつである。また、思わぬ反響で、メディア進出への可能性も生み出したり、社内の大きな活性化や、顧客リスト、自社ブランディングの整理が自動的にできるメリットもある。デメリットは「挑戦者(経営者)の覚悟が必要である」こと。これは一言でいうと「親戚、友達に迷惑をかける覚悟をしろ」ということ。これは、無理矢理に商品を売りつけたり、お金を借りたりするという非常識な内容ではなく、「今度こういうクラウドファンディングをやるから、よかったら協力してほしい」と身内からクラウドファンディングの応援者を募る努力を怠らないということである。これは、精神的負担でいうとらものを売りつけたり、お金を借りたりすること同じような心理状態といえるかもしれないが、顧客リストがふえれば、人へ頼み込むというプレッシャーからは自動的に解放されていく。

・本書では、「300年続く老舗傘屋がクラウドファンディングに挑戦することになった理由」「衰退する百貨店と商店街、発展するネット販売」「発展し続けるホワイトローズのDNA」「クラウドファンディングを成功させるための秘訣」という章で構成されており、「クラウドファンディングの概要と成功させる方法とその事例」「ホワイトローズの創業物語と宮内庁御用の高級ビニール傘の誕生秘話」など、ビジネスに悩む方々の手助けになる内容が書かれている。

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