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印南敦史「抗う練習」

・本書は、年間700冊以上の読書量を誇り、各サイトで書評を執筆するほか、エッセイを寄稿したり、本や音楽関連の書籍やエッセイも多数出している作家で書評家の著者が、自身の人生や、林眞須美死刑囚の長男との対話を通じて、「抗う」ことの大切さについて解説した1冊。

・「抗う」とは、外から加わる強い力に従わずに、それをはねのけようとすること。
・著者は9歳のころから抗っていた。自転車の二人乗りをして、坂道でブレーキが効かなくなり、ど派手に転倒し、意識を失い、そのまま20日間も意識不明の状態になったことがある。
・奇跡的に回復し、社会復帰をしたが、頭を打ったために、同級生やその親、近所の人など周囲の方々から、「頭を打って終わった子」というような目で見られるようになってしまった。
・歩いているだけで、「あの怪我があったからねえ」などの声が日常茶飯事で聞こえてくるだけでなく、入院中にお見舞いに来てくれた同級生が真剣な顔で「僕のことわかる?」と訊ねられたこともあった。
・さらに、入院生活を終えたあとに、よく遊びに行く友達の家に行くと、「もう来ないでくれる?」とその友達の母親から突き放すように言われた。
・著者は頭を怪我したことで、周囲から白い目で見られるようになった。そのときから、「絶対に負けてなるものか」というような気持ちを持つようになる。これが、著者にとっての"抗い"の原点なのかもしれないとのこと。
※そこから著者がどのように人生を歩んでいったのか、どう抗っていったのかについての詳細は、本書をお読みください。

・本書には、著者と「和歌山カレー事件」の林眞須美死刑囚(以下、林氏)の長男との対談も収録されている。
・林氏は、殺人及び殺人未遂で逮捕され、和歌山裁で死刑が言い渡されるも、直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで有罪とされているために、冤罪の可能性がきわめて高く、いまなお無罪を主張し続けている。
・この事件で、林氏が逮捕された後、林氏の4名の子どもたちは、児童養護施設に預けられたものの、そこで壮絶ないじめを受け、結果的にきょうだいは離散し、長女は2021年6月9日に自死する。
・そんななか、事件当時11歳だった長男だけが、職場や友人にも身分を隠しながら、無実を訴え続ける母親と面会を続けている。
※なぜ、著者は対談相手に林氏の息子を選んだのか、どういったことを話したのかについては、本書をお読みください。

・本書は、「いつも、抗ってきた」「抗う作法」「ささやかな『抗い』のプロセス」「僕が伝えたい『抗う人』たち」「いまここで抗い続ける人の声を聴く」という章で構成されており、「著者の体験を軸にした「抗い方」や「抗う」という考え方」と、「現在進行形で抗い続けている和歌山カレー事件の被告人として死刑が確定している家族(長男)と著者の対談」の二部構成となっている。

流されて生きないために、抗う作法について知りたい方は、本書をご一読ください。

※本日(5/22)発売の本です!

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