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松村由利子(編訳)「与謝野晶子 愛と理性の言葉」

・本書は、文学の世界のみならず、社会評論の世界でも華々しく活躍した日本の詩人で作家の与謝野晶子の言葉の数々を、歌人の松村由利子氏が、191の項目にまとめて紹介した1冊。

与謝野晶子 愛と理性の言葉(一部)

001 知力とは知識の量ではなく理解力
・私(与謝野晶子)の言う知力とは、知識の量ではなく、物事に対する理解力を意味する。知識の量を言うのなら、とうてい専門の学者には及びません。けれども理解力というものは、実生活における直接体験や読書によって自分の常識を新たにしつつ、何事にも部分にかたよらず全体を把握しようと注意しさえすれば、花が咲くように内側からひらけてくるものだと思います。
・しかし、どんなに読書をしても、どれほど物事の理解ができても、それを誇るべきことののうに思ってはいけない。少し学問をかじっただけでわかったふうに振るまうことのないよう、知力を養いましょう。

013 創造力は個性の力、未来を発明する力
・創造は、過去と現在を材料として、新しい未来を発明する能力である。この能力は個人のものであり、個性的なものです。
・人格の中心となるものは、この個人の創造能力です。もし、これが欠如していたならば、人は模倣したり同化したりする消極的な生活に終始して、自分独自の存在を主張することができなくなってしまいます。この創造能力を使って、経済的自立、精神的自立を実現してはじめて、文化的な生活者と言えると思います。

021 欲望はエネルギー
・人間の欲望は無限です。人間は、そうした欲望をみずから選択し、それらの実現に努力する者であり、そのために何らかの労働をしないではいられない者です。欲望の実現は、労働によって初めて可能になるのです。
・人間の欲望も、宇宙に遍在するエネルギーの一種です。エネルギーは無限ですが、私たちはできるだけ多く、自分のより高い欲望のために労働しなければなりません。

036 労働は商品ではありません
・人間は器械ではありません。労働は商品ではありません。私たちは、独立した人格者として、文化的な生活を何らかの労働によって創造するのです。

049 傲慢さは自分を損なう
・私たちは他人に対して傲慢であってはなりません。傲慢は、自分を過大評価することです。それとは逆に、自分を大切にする自尊心を損なうものです。私たちはあくまでも、自分の内的な力を適正に判断し、それをできるだけ豊富にひきだして、自分たちの日々の生活としたいものです。

052 希望を抱くことで活力のある人生に
・誰もが、希望を実現したいものです。しかし、ひとりの力で実現できる希望と、多くの人の力を合わせて初めて実現できる希望とがあります。実現できるはずの希望のなかにも、いろいろな理由のために実現できずに終わるものが大多数を占めるでしょう。
・それでは希望を抱くことがムダかと言えば、希望はできるだけ多いほうがよいと思います。
※希望ができるだけ多いほうがよい理由についての詳細は本書をお読みください。

・本書は、「幅広い読書で自らを育てる」「働く喜びは金銭には換えられない」「人生の海へ漕ぎ出すために」「男女という性差を超えて」「愛は常に訓練されるべきもの」「子どもを育てる喜びを分かちあう」「さまざまな自由を求めて」「考える人として若々しく」「国家は個人のために」「芸術にふれる人生を」という章で構成されており、

014 外国語よりも日本語を大切に
063 人としての価値は男女で差別されない
079 結婚後も訓練と努力が必要
122 人間と自然は対立するものではない
141 物事の本質に従えば「なるようになる」
など、美しく力強い与謝野晶子の言葉が合計10章、191の項目で紹介された内容となっている。

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